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2003/04/01

組織よ!「限界追求」の“思い”を抱け!

1452年4月12日――。この日は、史上最高の万能天才と言われるレオナルド・ダ・ビンチがイタリアで産声を上げた日です。ダビンチは、「愛は知識の母である。智恵は経験の娘である」という名言を遺していますが、もう一つ付け加えさせてもらえるなら、彼にとって「限界追求の思いは息子」だったはずです。機会均等の日本教育のお陰で、安価で良質なmade in Japanが世界市場を席巻した過去と異なり、今は“知識社会”“知価社会”という名で表現される21世紀ルネサンスの時代であります。ダビンチのように人間として、組織人として「知識」の母を持ち、「智恵」と「限界追求」の姉弟を持たなければ成長できない時代です。今回は“made in Japan復古”の「思いの丈」について書き綴ってみます。

1980年代に日本製品が世界市場を席巻していた頃、アメリカでは政府研究機関の総力を挙げて日本的経営マジックの謎に迫る研究が行われていました。「この歴然とした品質の差はどこから生じているのか?」「日本の高度成長の秘密は何か?」――。徹底した日本研究が行われた結果、新しい経営革新手法「シックス・シグマ」(6σ)が生み出されています。

日本的経営の強みであったQC活動や“あうん”の呼吸型ビジネスシステムがアメリカンナイズされた経営革新手法を今度は学ぶ立場になったことは何とも皮肉ですが、日本の最大の油断は、「NO.1を維持・継続できる」という「思い」「込み」があったからに他なりません。例えば、ロールシャッハ図版を見せられると、ほとんどの人が何かに見立てて答えますが、何か意味のあるものに見えたとすると、それは自身が勝手に作り出した「嘘の見え」なのです。この見立てが妥当でない時、「思い込みエラー」を犯し、時に大きな(経営的)事故につながってしまうわけです。

情報過多の今日、自社なりの世界をしっかり持って対処しないと、情報の海に溺れてしまうのが落ちです。この自社なりの世界が、「限界追求の思い」であることは言うまでもありません。「限界追求の思い」が、どれだけ強く深く心の中に占めているかが人の行動を規定するわけです。組織もそういう思いを持つ,持てる人材をどれだけ確保するか育成するかによって、その存亡が規定されます。IBMの社是「Think」は、この限界追求の思いがいかに重要であるかを物語っています。

「限界追求の思い」が行動を規定し、その行動が結果につながるのであれば、結果が出ない場合はその思いが足りないことになります。日本経済が上手くいっていないのも、政治家や経済人に「限界追求の思い」が足りないからではないでしょうか、また国民にもその思いが足りないのではないでしょうか。

新製品開発に巨額な投資を要求される医薬品の場合も同様です。時の経営者が限られた予算の中で最大限努力するという「限界追求の思い」がなければ、この厳しい開発競争に負けてしまうことは自明の理です。この「限界追求の思い」こそ、全ての行動並びに発想の原点であり、将来の勝ち組を規定する根本的な定理ではないかと思えてなりません。21世紀ルネサンス時代における経営者の重要な役割は、現状に甘んじることなく、絶えず自身の「限界追求の思い」(ビジョン)を社内外に発信し続け、常にピンを目指す環境整備に取り組むことなのです。


堀井 輝夫

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•  レオナルド・ダ・ビンチ
•  知識社会
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•  限界追求の思い


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