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2003/06/02

新説「敵本主義」 社内コンサルタントの育て方・活かし方

1582年(天正10年)6月1日未明――。明智光秀は、「わが敵は中国に無し。京都四条の本能寺にあり。急ぎ攻め討て!」という命を部下に下しました。この故事に習って「敵本主義」という四文字熟語ができたそうです。本来は、「目的は別のもののように見せかけて、本命を狙うやり方」を指しますが、私は“敵は本隊にあり”、つまり「組織を現状に甘んじることなく常に覚醒させ続ける」と言う意味合いで使っています。造反を企てるくらい力量のある「人財」がいればまだしも、“問題意識の無い社員”“提案対案が出来ない社員”や“御輿の担ぎ手的社員”ばかりの「人罪」の集まりでは変転極まりない先行き不透明な未来を切り開くことなど到底できません。今回は医療・医薬品業界の専門コンサルタントであるユート・ブレーンが自ら実践する社内コンサルタントの育て方・活かし方について書き綴ってみました。

「人は石垣、人は城、・・・」と言うように――。世の中は、人と人との共生によって成り立っていますし、企業という組織社会も人材の集合によって成り立っています。ただ、その真価は人財の多さ如何で決まり、この固まり(結束)が強ければ強いほど企業力は底上げされるはずです。

雪印事件やSARSにおける中国の対応などを列挙しなくとも、リスクマネジメントの必要性は言語を待たないほどで、特に国民の健康と安全に直結している医薬品産業の場合、 過去に様々な危機に直面し対応を図ってきた歴史があるためか、リスクマネジメントに関しては他産業に比べ、一歩も二歩も進んでいます。ただ、「人罪」に対するリスクマネジメントは必ずしも進んでいるとは言えません。確かに、過去に比べ現在の医薬品産業には優秀な人材が集まっておりますが、一定の導入教育と継続教育、そして免罪符のようなMR認定資格があるだけで、本当に「人材」を「人財」に代える努力をしている企業がいか程あるか、大切な「人材」を「人罪」に代えている企業もあるかもしれません。

経済成長率が人口増減率と生産性増減率を乗じた値であるのに対し、企業の成長率を決定付ける唯一最大の変数は「人財増減率」なのです。とりわけ、知価社会と呼ばれる今日では、組織の論理が個人の役割を規定してきた旧パラダイムから、知価の論理で個人が規定され組織の力となる新しいパラダイムへ移行しつつあります。つまり、企業を形成する個人が優れていればいる程、高い価値を提供できますが、金太郎飴的な画一的な個人ではありきたりな価値しか提供できないことになるわけです。

それでは個人を覚醒させるためには、どのようにすればよいのでしょうか?端的に言うと、プロフェッショナリズムを個人に植え付けること、社内コンサルタントたれと言う問題意識を身に付けさせること、そして適正な評価スケールを整えることです。

マッキンゼーには、クライアント・リーダーシップ、ソウト・リーダーシップ、アントレプルナー・リーダーシップなど5つの評価項目からなる「5パート・リーダーシップ」でコンサルタントを評価しているそうですが、ユート・ブレーンにも、現会長の北原秀猛が創業時に自身を律し、他のコンサルタントの力量を測る「ICON」という評価スケールがあります。

I:理想(Ideal)
C:構想(Conception)
O:独想(Originality)
N:知想(Nous)

もちろん、「独想」と「知想」は当て字ですが、30余年経過した今でも、このICONは十分生きております。

プロフェッショナリズムやアントレプルナーシップを植え付けてもらうために「新規企画コンペ」を定期的に行っていますし、社内コンサルタントという意識を身に付けてもらうためと組織の浄化活性化を目的に、社長直轄の組織横断的「業務改善委員会」を設置しています。

企業個々に合ったやり方があるはずですし、ある大手メーカーが今年7月から全社員の賃金体系を完全成果主義に改めることも組織を覚醒させる一つの手段だと思います。

「災害は忘れた頃にやって来る」と言いますが、「人害は経営陣自らが作り出している」ことを忘れてはならないと言う事であります。


堀井 輝夫

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