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2004/05/06

「自己責任」という言葉を考える

5月8日は、赤十字の創始者アンリ・デュナンの誕生日にちなみ、世界的な記念行事が行われる「世界赤十字デー」の日です。「傷ついた兵士はもはや兵士ではない、人間である。人間同士としてその尊い生命は救われなければならない」という言葉はあまりにも有名ですし、デュナンの祖国スイスの国旗を反転させた赤い十字マークが「福徳」を意味することもよく知られています。彼の意思を受け継ぐ人は赤十字社のスタッフ以外にも数多くいらっしゃいますが、せっかくの「ボランティア」が「ホールディング」になってしまってはいただけません。今回は、イラクで起こった日本人人質事件に端を発した「自己責任」という言葉で率直に感じたことを書き綴ってみました。

イラクの日本人人質事件が全員無事で解決したことは、本当に良かったと思います。ただ、心の片隅に今ひとつ釈然としない部分が残っています。それは、「自己責任」という言葉の意味です。「行ってはならない」「やってはならない」という指示を無視したのですから、それなりの決意と結果責任の自覚があったはずでしょう。

かたや、邦人の生命を守るのは国の責任ですから、この厳しい財政難の中、一説によれば数十億という国費を費やしてでも、助けなければなりません。

しかし、欧米には「自己責任」という言葉も発想も無いように聞いております。

個人自身の意思による自由な発想による行動の帰結は、個人で全て完結し全て背負うという発想が根付いているためです。逆に、日本の場合は、昔から相互扶助組織体制に慣れ親しんできたせいでしょうか、比較的この自己責任・自己完結の発想が希薄なように思います。

会社組織の中でも、この考え方が未だに根強く、個人で招いた色々な不祥事(会社命令ではない)であっても、全体でその責を負うとか皆で助け合うとかの考えが底流に流れています。従って少々の事は目を瞑ってやってもいいんじゃないかという甘えの構造の上に成り立っているのです。

時代は変わり、最近は「個性の時代」「個の尊重」が巷ではよく言われております。

又、組織の構成員の多数意見が主になって組織を動かすという事が多くなり、一握りの上司の意見のみで全体を動かすという時代ではなくなりつつあります。

「個の尊重」が重要であればあるほど、個自身の自覚、責任の重要性がその前提にある事が必要なのであります。

しかし、こうした「自己責任」という言葉の持つ意味を個々人がなかなか理解できないがため、このような日本人人質事件的な言動が散見されるのだと思います。

組織もこの「自己責任」を強く自覚する構成員の集積であればあるほど、山積する諸問題をたちどころに解決できる素晴らしい強固な意志を持つ組織となることでしょう。今一度、この「責任」という言葉の持つ意味を考えてみてはいかがでしょうか。


堀井 輝夫

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キーワード
•  アンリ・デュナン
•  世界赤十字デー
•  ボランティア
•  自己責任


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