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2004/09/01

先見性とその判断

五輪“原点の地”で開催された第28回アテネ五輪では、柔道女子48キロ級の谷亮子選手や男子平泳ぎの北島康介選手などメダル獲得が確実視された選手に加え、競泳女子800m自由形で史上初の金メダルを獲得した柴田亜衣選手など「ダークホース」と呼ばれた選手の活躍が目立ちました。日本オリンピック委員会は、「00年のシドニー大会の反省からゴールドプランなどを打ち出し、重点競技に専任コーチをつけるなどの強化策が効果を上げた」と語っているとおり、“逸材”を発掘し、能力を最大限に引き出すことができた結果が過去最高に並ぶメダル獲得につながったものと思われます。

今回は、逸材や新しいビジネスモデルを発掘する先見性とその評価・判断が如何に重要な事であるかを書き綴ってみます。

「先見性」をテーマに書き綴ってみたい、と思ったのは、アテネ五輪が開催されているギリシアで発掘された一塊の大理石が“人類の芸術遺産”に化けたことを思い出したからです。それはフランスのルーブル美術館に所蔵されている「ミロのヴィーナス」です。

その発見は、1820年、4月8日、エーゲ海のミロス島で、偶然、ギリシア人のヨルゴスという農夫が自分の畑から掘り出した大理石の塊が発端です。この何の変哲もない石に興味を抱いたフランス海軍の若い士官オリヴィエ・ヴーティエが、さらに他の断片を農夫に探して貰ったところ合計6個の断片が発掘されたそうです。そして、それらをパズルのように組み合わせた彼らは、やがて上半身裸体の美しい女性像と遭遇することになったわけです。

当時、ギリシアはオスマントルコ帝国に支配されていましたが、ヨーロッパ列強も国の威信をかけて古代遺産の発掘競争の渦中にありました。このミロス島もバイエルン王国が主導権を握っておりましたが、機転を利かせたオリビィエ・ヴーテイエのおかげでフランスの所蔵物になったのです。

この歴史の教訓を現代に置き換えると人財の発掘やビジネスモデルの構築には、このような何気ない発見から将来を見通す発想とそれを発展させるシステムがいかに重要であるかがわかります。

発想・発見はコロンブスの卵と同様、元は大したものではありません。ただ、その中で何も変哲の無い物を見て、そこから「これはいける」という先見性と発想、又それを素早く世に送り出す仕組み、システムがあって初めて大きな実を結ぶものです。

製品開発、業務改善、人材教育、ビジネスモデルの開発――いずれも当てはまることで、ビジネスを進める上での貴重な教訓です。いかに先見性を持ち・いかに迅速に組織の共有財産にするかが企業存続の鍵でありましょう。

ミロのヴィーナスはフランスが勝ち得た歴史上、最大の金メダルですが、これからのビジネスで金メダルを獲得するためには新たな発想と先見性を持ち続けることが必要でしょう。


堀井 輝夫

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キーワード
•  ビジネスモデル
•  ミロのヴィーナス
•  コロンブスの卵


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