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2005/02/01

05年度を“貫く棒”!?

「去年(こぞ)今年、貫く棒の如きもの」――。
これは明治の俳人で文化勲章の受賞者でもある高浜虚子の句であります。時は新年とともに新しくリセットされますが、物事の事象・流れは昨年から今年にかけても貫く棒のように不変に流れている、という意味です。

新年を迎えるたびに、私たちは年頭の挨拶とその発想の中で、「今年は大変だ。これからは大きな変化がある」「今年からこう変わる」など、あたかも歴史的な転換の年になるように話しがちです。ただ、この手の挨拶は、聞き手側(社員)からすると、入ってくる情報のうち不必要なものを無意識のうちに排除する「習慣化による受信濾過」を引き起こし、変化への対応を遅らせてしまう危険性があります。

世の中の動きは、昨年あるいはその前から既に予兆が始まっているものです。その予兆を認識できていないからこそ、イソップ童話の“狼少年的フレーズ”を口にするのではないでしょうか。

災いを取り(酉)払いたい今年も、去る(申)年の延長の中で変遷するはずです。本年の動きを読みながらこれからどう対応すればよいか、その心構えについて色々書き綴ってみます。

医療に関する環境は、引き続き新しい秩序を模索しながら、劇的な変化の呼び水となる診療報酬と介護報酬のダブル初改定、そして医療保険制度改革関連法案の国会提出が予定されている06年度を機に変容を遂げるはずです。

その環境変化を前に、製薬業界では、多額の費用を投じて開発した新製品が副作用問題、あるいは有効性への疑問から、販売中止に至るというショッキングな出来事が昨年相次ぎました。

メルク社の関節炎および急性疼痛薬に関する副作用がらみで該製品の販売回収の問題が発生しました。また、その後ファイザー社でもその例に漏れず製品の副作用問題が起きたことは記憶に新しいところです。さらに、年末にはアストラゼネカ社の「イレッサ」が、その製品の有効性に疑問を投げかられイギリスで発売中止になりました。

この事例からも、今後、臨床開発をも含めた有効性・安全性に更なる多額な開発投資が必要になる状況が予見できます。つまり、製品の開発費が膨れ上がる中で、制度改革がもたらす薬剤マーケットの硬直化が、生き残りを賭けた熾烈な競争に拍車を掛けるはずです。

巨額な費用を投じなければ、新製品は開発できません。片や、開発した製品には予期せぬ副作用の発生という耐えざる不安が付きまといます。このジレンマに業界はさらされ続けることでしょう。

こうした状況を踏まえると、間違いなく業界は二極分化の方向に向かっているように思えてなりません。一つは巨大な研究開発費を投資できるメガファーマを目指して統合発展に向かう選択。もう一つはニッチな製品を独特な技術とノウハウで評価されることで生き残っていく選択です。

言い換えれば、既に兆候が現れつつある、来るべき急激な変化にどう対処していくか、知恵を問われる年が05年だと思います。

そのために三つ高い心のありようを自身で持つ事が肝要でしょう。

  • 一つは、目標を高く持ってそれに突き進む意識の集中化です。先述の「習慣化による受信濾過」を断ち切り、自ら掲げた目標の達成にすべての意識を集中させることです。
  • 二つ目は、絶えざる情熱です。情熱がさめた時、人はやる気をなくし単なる平凡な人になってしまうからです。
  • 三つ目は、絶えず新しい企画にチャレンジする冒険心を持つことです。
即ち高い目標を自らに課し、ひたすら熱い情熱を持ち続けて、新規な先見性のあるものに取り組んでいく。この三つを継続できる人材を数多く抱えることこそが最良の解決策でありましょう。

貫く棒の如く」――目標を貫くことは、当たり前のことですが、その確度を高める“知恵”と“先見”が今痛切に求められているのです。


堀井 輝夫

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