三共と第一製薬の統合がいよいよ発表されました。昨年度の山之内製薬と藤沢薬品の合併、大日本製薬と住友製薬との合併発表に次いで、医薬品産業の統合と再編成が現実の動きとなって大きく本格的に始動し始めたわけです。今後、動きのない残りのメーカーも何らかの再編の波にさらされるわけで、この中でどう対処するかがこれからの課題でありましょう。
もともと規制産業の最たる金融と医薬品業界は、「いつかは編成の波にのみ込まれるだろう。他産業に比し、このままでは終わらない」と言われて久しかったわけですが、金融が再編され、その後、最後の未編成業態と言われた医薬品産業において、ついに危惧していた事態が発生したわけです。
統合はある意味では企業合併ですから、資本の論理で粛々と形だけは進められますが、融合はそう簡単にはいきません。そもそも統合とは、両社の融合が上手くいき、融合によるコストシナジーを実現するのがその最大の目的です。が、融合とは二つ、あるいは二つ以上の文化と慣習の適切な統合であって、これが上手くいかないと1+1=2以下の結果になりかねません。
基本は、それぞれの文化と慣習の良き所を捉えながら融和させる、その手法が問われます。お互いの立場の尊重と評価がその前提にあり、それが理解されなければ上手くはいきません。
また、それぞれの従業員にたって言えば、個人の持つ能力をどう磨き、訴え、理解させ、その拠って立つ立場をどう占めるかが鍵でありましょう。その意味で、再編成・統合とは自分の持つ能力の最大の発表の場とも言えるでしょう。日頃から才能を磨いていた人、問題意識を持って対応していた人には最大のチャンスです。
災い転じて福と為す、という精神こそ今こそ肝要ではないでしょうか。
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