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2005/04/01

値段の無い医療・医薬品メニュー “高い?それとも安い?”

巷では、値段の無いメニューを見かけなくなりました。

見るからに高そうで行きづらかったフランス料理店にも最近、店頭にメニューと一緒に価格が表示されていますので、財布の中身と相談しながら恐る恐る入ることも少なくなりました。

また、値段の無いことが売り物だった寿司屋も最近は値段が書いてあるようになりました。たまに季節の希少価値の魚は「時価」と記入してありますが、まず持って価格の表示が無い店もめっきり少なくなってきております。

翻って、医療用医薬品や医療サービスの価格はどうでしょう。そんなご時世とは逆行するかのような状況が未だに続いております。今回は医療・医薬品業界の価格の不思議について書き綴ってみます。

医療サービスの世界はどうであるかと言いますと、消費者(患者)にとって非常に値段が分かりづらい構造になっております。

お医者さんにかかった場合、いくら費用がかかるのか、請求書を見て初めて分かるという経験をお持ちの方も少なくないでしょう。まして「この治療はいくら、この検査はいくらになる」あるいは「別の治療や別の検査を受ければこれだけ安い」というような値段の説明を事前に受けることなど皆無です。

医療用医薬品の値段も「薬価」という公定価格が設定されていることは分かっていても、今、処方されている薬がいくらかを認識し、他の類似な薬と比較して高い、安いと判断することは稀でありましょう。

医療費が公的保険でカバーされ、かつ医療の提供が一方的であるという事情もありますが、薬または医療の値段が個別の需要者(患者)から、「高い、安い」と議論されたことなどほとんど無いのが実状です。

最近、ジェネリック医薬品が多く発売され、それが社会的に認知されてきたことから、一部の保険薬局等では薬の価格を一覧にし、患者に選ばせるようになってきた病院もありますが、全体ではまだまだの状況です。

本来、医療もその受けるメリットを鑑み、それの対価・評価としての価値、即ち「高い、安い」という発想があって当然ではないでしょうか。

医療・サービスの供給が医療機関の恣意のままに実施され、それを購入する消費者、即ち患者の視点がほとんど存在しないというビジネスもまた、ある意味では難解な業態と言わざるを得ないものと思います。

これからの医療は医療サービスを受ける立場の患者(消費者)からの評価、視点が供給と需要という関係の中で、今より対等にあってしかるべきではないか、こうなって初めて患者指向に立った「本来の医療」のあり方を確立できるのではないかと考えます。このような考えはますます浸透するでしょう。

また、医薬品等を供給するメーカーサイドから言えば、良く効く薬は高く、効き目が少ない薬は安くというように有用性の差が価格に反映されるようになれば、薬の処方や調剤もより患者・消費者に軸足を置いた対応に変化していくでしょう。

これからの医薬品メーカーは薬の認知、会社の認知をなお一層、患者(消費者)側にスタンスを置かないと、消費者から指名されない会社になってしまうのではないでしょうか。セットメニューの価格がオープンになることを前提にした消費者対策がこれからますます重要になるのではないかと考えますが、いかがなものでしょう。


堀井 輝夫

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キーワード
•  薬価
•  ジェネリック医薬品
•  保険薬局


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