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2005/09/01

「まさか」があり得る時代 意外性への処方せん

元亀2年(1571年)9月12日、織田信長は、彼の一大“抵抗勢力”の牙城であった比叡山延暦寺を焼き討ち、壮大を誇った塔堂をことごとく炎上・破壊し、壊滅的な打撃を与えました。当時、政治権力として専横を振るった宗教勢力を抹殺することなど思いもよらぬ時代であっただけに、信長のとった大胆な政策は「宗教と政治を分離」し、政治に宗教勢力を介入させないという意味で大きな歴史の転換となったわけです。

周知の如く郵政民営化法案も、参院で否決され、即刻、衆院解散という事態になりました。誰しもが「まさか」と思ったシナリオが、一点の狂いもなく実行に移されたわけです。

“人生至る所に青山あり”の例え通り、明日の先が読めないのも人間の常であり、何が起こるか分からないのが今の世相でありましょう。

しかし、意外にも世論はこの解散総選挙を概ね支持しており、過去の古いしがらみ・惰性からの決別を求めているようにも受け取れます。

今回は、郵政法案否決・解散総選挙に思いを馳せ、時代の変転に関する世過ぎの知恵を書き綴ってみたいと思います。

“小泉流”と言われるように、なかなか心中がはっきりしない、先が読めないリーダーとされていますが、その発言や行動は非常に明快です。従来のビジネスモデルや組織論が通用しない現在、そのあり方を考え直す切っ掛けとしても示唆に富むものを持っているように思います。

「抵抗勢力を潰す」「構造改革を推進する」「新しい政治モデルを策定する」などといった発言にみられるように、その基本は過去にあった古い勢力と価値観との決別であり、新しい政治モデルを創り上げることでありましょう。

ビジネスの世界に、“小泉流”を置き換えてみましょう。

まず。第一に「単純明快な目標(公約)」を持つことでありましょう。目標を貫き通す揺るぎ無い信念と強い実現意志を持ち続けることです。いつかは自分の信じたことを実現できる実施出来る環境、時期が訪れるものです。その時に一気呵成に自分の涵養してきた目標・理想を実現することが必要なのです。そのために、日頃から自身の価値観をはっきり持ち、それを絶えず育んでいくことが肝要ではないでしょうか。

第二に、自ら作り上げた目標は一部の人の利益の代弁ではなく、多数の人(少なくとも50%以上)と共有でき、その目標を実現することで、より多くの人が何らかの利益を享受できるということです。「最大多数の最大幸福」につながるものであれば、それは有益な施策であり、いつか必ず実現されるものです。また、周りの賛同を得るためのアンテナを絶えず持つことも必要でしょう。

第三に、その実現すべき目標はビジネス上の合理性・効率性という理念に合致したものでなければならないということです。言い換えると、不合理とか、不公平感につながるものであってはならないということです。施策の中には往々にして過去の前例あるいは慣習に引きずられ、どうしても妥協という産物が生まれるものですが、判断の根拠と実践はあくまでも合理主義に裏付けられなければ、組織は衰退していくのではないでしょうか。

第四は、先を見据えたしっかりした展望・先見性を絶えず持っているかということです。一歩先を自分なりに分析して、それなりの整合性を持った価値観を作り上げることが大事ではないでしょうか。行き当たりばったり、上からの指示を何ら咀嚼せず下に流す組織は、いつか無責任、無感動な集合体になり、気づいた時には修復しがたい利権がはびこり、人は去り、自然崩壊につながってくことでしょう。

いずれにしろ、グローバル化が進展し、狭い旧来の古い価値観で生きられた時代から新しい合理的な価値観に準拠した時代に突入したことは間違いのない事実です。新時代に相応しい価値の創造、転換が我々には求められているのです。

医療の世界でも待ったなしの制度改革が推進されつつあり、古い秩序と価値観が切り捨てられる代わりに、(受益者負担の増加を前提とした)「患者中心の医療」が構築されようとしています。早晩、医療機関も製薬企業も、患者に選ばれる時代がやってきます。制度に適応するのではなく、顧客である地域の患者に適応する――この大きな変化に耐え得る準備を今からしておく必要があるでしょう。

構造と発想の転換は、掛け声だけでは済まされない状況なのですから・・・。


堀井 輝夫

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•  郵政民営化法案
•  小泉流
•  最大多数の最大幸福


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