9月11日(September 11もしくはnine elevenと発音される)という単語は、米英をはじめとする多くの西側メディアで、2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロ事件を指す言葉として使われていますが、日本でも2005年9月11日は、郵政民営化法案を含む小泉構造改革に歴史的な審判が下った日として、政治史の1頁に刻まれることになりました。朝日新聞社が選挙後に実施した緊急全国世論調査によると、自民が圧勝した理由のトップは、「小泉首相が支持されたから」(58%)で、“小泉人気”が選挙に与えた影響の大きさがうかがえます。
では、なぜこうなったのか――。その理由を突き止めることは、我々のビジネスにも生かすことができる数多くのキーワードにたどり着きます。今回は、勝機をしっかりつかんだ小泉流勝利の方程式について書き綴ってみたいと思います。
基本的には小泉首相のリーダーシップによるところが大きいようですが、その中に垣間見られる5つのキーワードを足し合わせると、ビジネスの世界でも十分利活用出来る「勝利の方程式」になります。
- シンプル
論点を郵政民営化にのみ絞って、分かりやすく率直に表現を単純化したことです。往々にしてビジネスの世界でも物事を殊更に条件付けして複雑に難しく表現し、解かりづらくしている場面が多く見受けられます。これでは、論点と主張がぼやけてしまいます。極論すれば、結論―理由―条件の三つの論理で自分の意見を主張すべきでありましょう。文字に直せばA4一枚の表現が大事かと思います。
- クライアントニーズの把握
自分の仕事の方向をどこに向けるかでありましょう。全てクライアント(政治で言えば国民)に視点を向け、そのニーズに立脚した主張を行うことです。それには目線を下げた議論、実態調査が前提でありますが、これらを聴取し、十分内容を把握した上での意見展開は相手の賛成を得るものでありましょう。
- モチベーションの醸成
今回は若い人たちへの訴え、改革に対する心情的な賛同、若い人への負託等、これから社会を支えるであろう人の共感とモチベーションを巧みに取り入れています。組織の中でも、古い人がいつまでも過去に捉われた運営なり判断なりしていたのでは、その組織の構成員のやる気をそぎ、ひいては組織の活性化を損なうことになるでしょう。このモチベーションの持たせ方の巧拙が組織力の発揮に大きな影響を与えるのでありましょう。
- 結果責任の明確化
今回の衆院選は、参院で否決された郵政民営化法案の信を問うための選挙でありました。選挙の結果、大敗した場合は、総理大臣を辞職するという結果責任を明確にしたことでありましょう。組織の中で結果責任を明確にすることはなかなか難しいことでありましょうが、少なくとも仕事を推進する場合、それくらいの覚悟と決意を持って進めることが必要でありましょう。ややもすれば、結果責任をうやむやにしがちな日本的体質の中でいざと言う時にはこのような結果責任を明確にすることが肝要でありましょう。
- 過去のしがらみを断つ
今回の進め方については古い自民党の幹部は殆ど「あり得ない決断」「できっこない」という評価でありましたが、そうした古いしがらみを断って選挙まで進んだということであります。しがらみを断つと言うことは、なかなか勇気のいることでありますが、物事の本質を捉えて正しいと思うことに対する判断には、このしがらみが邪魔になることがあり、改革・改善には大きな障壁になる場合があります。大事の前の小事と言いますが、この過去との惜別の仕方、タイミングはこれから仕事を進めていく場合、大変重要なことでありましょう。
以上今回の大きな政治の変動の中での判断あるいは身の処し方の要諦はこれからの我々の仕事を推進する過程でも参考に出来る色々な方程式を提供してくれたものと考えております。
医療の世界でも来年の医療費改定等において、過去に有り得なかった変化が出てくるものと思います。従って今から変化に柔軟に、かつ優位に対応できる思考回路を準備していくことも必要でありましょう。
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