セジデム・ストラテジックデータ株式会社 ユート・ブレーン事業部

医薬品企業の医薬品売上高ランキング2011年版

100億ドル超のメーカーは日本の4社を含めて世界で20社に

セジデム・ストラテジックデータ株式会社ユート・ブレーン事業部(本社大阪市)では、毎年恒例となっている2011年度の世界の医薬品企業の医薬品売上高ランキングをまとめた。これは各社の公表データを基に、医療用医薬品、ワクチン、造影剤、ロイヤリティなどの売上を集計し、OTCや診断薬、検査薬などは除外したもの。ただし、非上場メーカーなど詳細が不明のメーカーはOTCなど他の事業を含んでいるところもある。表に示した上位30社のうち、中外製薬以外の日本のメーカーは直近の2012年3月期決算の数字で、それら以外 は12月期決算。為替レートはいずれも12月末のレートで換算しており、円は2010年12月末より5.4%高く、ユーロは2.3%下落したことから、日本のメーカーは売上が同じでもドル換算値は5.4%増えている。なお、大塚ホールディングスやバイエル・ヘルスケアは2010年の数字を変更したため、それに合わせて変更した。
R&D費(研究開発費)は、医薬品事業やヘルスケア事業のR&D費を公表しているメーカーはその数字を使用し、公表していないメーカーは全額を示した。サノフィ・アベンティスは2011年に本社名を「サノフィ」に変更済みであり、サノフィと表記した。

2011年世界の医薬品売上高ランキング(単位:百万ドル)

11順10順メーカー名国名2011前期比R&D費全売上高2010
1 1 ファイザー 57,747 -1.3% 9,112 67,425 58,523
2 2 ノバルティス スイス 47,925 14.1% 9,583 58,566 41,994
3 3 メルク 41,289 3.7% 8,467 48,047 39,811
4 4 サノフィ フランス 40,607 5.2% 6,041 43,235 39,515
5 5 ロシュ スイス 36,439 -7.6% 7,632 45,253 39,389
6 6 グラクソ・スミスクライン 34,293 -5.1% 6,045 42,321 36,167
7 7 アストラゼネカ 32,981 1.4% 5,523 33,591 32,515
8 8 ジョンソン&ジョンソン 24,368 8.8% 5,138 65,030 22,396
9 9 イーライ・リリー 22,608 4.3% 5,021 24,287 21,685
10 10 アボット・ラボラトリーズ 22,435 12.8% 4,129 38,851 19,894
11 11 ブリストル・マイヤーズスクイブ 21,244 9.0% 3,839 21,244 19,484
12 13 武田薬品工業 17,556 7.2% 3,642 19,495 15,541
13 12 テバ製薬工業 イスラエル 16,689 3.5% 1,095 18,312 16,121
14 14 アムジェン 15,582 3.5% 3,116 15,582 15,053
15 16 ベーリンガー・インゲルハイム ドイツ 13,976 4.4% 3,072 17,055 13,703
16 15 バイエル・ヘルスケア ドイツ 13,774 -0.3% 2,015 47,300 14,136
17 17 アステラス製薬 12,523 1.6% 2,452 12,523 11,697
18 19 ノボ・ノルディスク デンマーク 11,557 9.2% 1,677 11,557 10,812
19 18 第一三共 11,535 -3.2% 2,391 12,128 11,313
20 21 大塚ホールディングス 10,106 4.1% 2,057 14,917 9,210
21 22 ギリアド・サイエンシズ 8,385 5.5% 1,229 8,385 7,949
22 20 エーザイ 8,014 -16.4% 1,616 8,372 9,101
23 24 バクスター・インターナショナル 8,014 6.4% 946 13,893 7,529
24 23 メルク・セローノ ドイツ 7,666 2.9% 1,580 13,306 7,625
25 25 マイラン 6,106 13.0% 295 6,130 5,404
26 26 田辺三菱製薬 5,066 -0.7% 907 5,260 4,841
27 28 バイオジェン・アイデック 5,049 7.1% 1,220 5,049 4,716
28 27 セルビエ フランス 4,985 6.9% 1,246 4,985 4,771
29 29 中外製薬 4,826 -1.6% 722 4,826 4,653
30 38 セルジーン 4,823 33.6% 1,600 4,842 3,610

CSDユート・ブレーン事業部調べ/為替レートはいずれも12月末のレートで換算/前期比は決算通貨に基づく
原則として医療用医薬品、造影剤、ワクチン、ロイヤリティの売上を集計。
詳細非公表のメーカーはOTCや診断薬を含む。中外製薬以外の日本のメーカーは3月期決算の数字
テバ製薬工業は「Teva Pharmaceutical Industries」の日本語訳

100億ドル超のメーカーは20社に

前回の2010年版ランキングで100億ドルを超えるメーカーは19社だったが、抗精神病薬エビリファイの好調な大塚ホールディングスが、円高も寄与して101億ドルを超え、20位に入った。 そのうち200億ドル以上のメーカーは9社から11社へ増えたが、11社の順位は2010年と同じ。日本のエーザイはトップ製品であるアルツハイマー病薬アリセプトがパテント切れで米国は92%減の1.44億ドルまで減少し、 全体の医薬品売上高は16.4%減の80.14億ドルとなり、順位を2つ下げて22位となった。上位20社のうちでも、超大型品のパテント切れ(パテント・クリフ)の影響で、2012年の売上高が減収となる見込みのメーカーが8社ある。

パテント・クリフの影響

世界最大の医薬品であったファイザーの高脂血症剤リピトールは、2011年11月に米国でジェネリックが登場し、2012年第1四半期の売上げは9.9億ドル減少して14.0億ドルとなり、2012年にはリピトールだけで40億ドルが消えると予想される。 米国では2012年6月時点で、ブランド品(月30錠が約180ドル)の9%程度の価格(月約16ドル)でジェネリックが登場している。 2012年にこのような影響を受ける製品の例として、イーライリリーのジプレキサ、アストラゼネカのセロクエル、 ブリストル・マイヤーズスクイブ及びサノフィのプラビックス、メルク(MSD)のシングレア、武田薬品のアクトス、ノバルティスのディオバンなどがある。 セロクエルやプラビックスの米国のジェネリックは今年3月以降の登場にもかかわらず、早くもブランド品の7%以下で販売する薬局もあり、今年は欧米主要国の医薬品市場が縮小すると予想される。 つまり、2011年は欧米先進国の医薬品市場がいったんピークを打った年と言える。すでにイギリスやスペインは2011年に医薬品市場が縮小した。

R&D費のランキンク

10億ドル以上のR&D費を投じた27社のランキングを示した。1位は眼科関係に強いアルコンを完全買収したノバルティスで、95.8億ドルとなり、ファイザーを抜いた。 ジェネリック最大手のテバ製薬がセファロンを買収してブランド品に力を入れていることから、初めて10億ドルを超えた。 UCBは医薬品売上高の上位30社に含まれていないが、医薬品売上高では35位で42.0億ドル。 ブランドメーカーは新製品がなければ売上を伸ばせないため、今後の減収傾向が明らかになっても、世界的大手はR&D費を増やしているメーカーが多い。 なお、ロシュはスイスフラン高が続き、トップ製品の抗がん剤アバスチンも為替固定ベースで7%減となり、医薬品のR&D費も10%減らした(決算のスイスフランでは19%減)。

医薬品メーカーの R&Dランキング(単位:百万ドル)

11順メーカー名R&D費
1ノバルティス9,583
2ファイザー9,112
3メルク8,467
4ロシュ7,632
5グラクソ・スミスクライン6,045
6サノフィ6,041
7アストラゼネカ5,523
8ジョンソン&ジョンソン5,138
9イーライ・リリー5,021
10アボット・ラボラトリーズ4,129
11ブリストル・マイヤーズスクイブ3,839
12武田薬品工業3,642
13アムジェン3,116
14ベーリンガー・インゲルハイム3,072
15アステラス製薬2,452
16第一三共2,391
17大塚ホールディングス2,057
18バイエル・ヘルスケア2,015
19ノボ・ノルディスク1,677
20エーザイ1,616
21セルジーン1,600
22メルク・セローノ 1,580
23セルビエ1,246
24ギリアド・サイエンシズ1,229
25バイオジェン・アイデック1,220
26テバ製薬工業1,095
27UCB1,010
 10億ドル以上合計101,549

R&D費(研究開発費)は医薬品やヘルスケア事業の数字が公表されている場合はその数字、公表されていない場合は全社の数字

世界の医薬品メーカーランキング2011について

この医薬品メーカーの医薬品売上高ランキングの詳細は、月刊情報誌「ファルマ・フューチャー」の2012年5月号に掲載しています。このランキングでは世界の医薬品売上高5億ドル以上の115社と、参考データとして3~5億ドルの18社を取り上げています。このほか、薬効別ランキングとして、抗精神病薬、スタチン、抗うつ剤、ARB、糖尿病薬など9つの薬効に関する世界のブランド品売上をまとめたものを掲載しています。詳細、お申込みはファルマ・フューチャーをご覧ください。

連絡先

セジデム・ストラテジックデータ株式会社
ユート・ブレーン事業部 永江研太郎
TEL06-6202-7787/FAX06-6202-7786
〒541-0045
大阪市中央区道修町1-7-10 扶桑道修町ビル9F
E-mail:CSDJapan@cegedim.com

参考:データを引用される場合

この医薬品メーカーランキングは、厚労省の「新医薬品産業ビジョン」でも使われたほか、日本経済新聞、朝日新聞等の一般紙、週刊東洋経済等の経済誌、各社の「業界地図」などで毎年利用されています。利用される場合は、上記本社宛にご連絡をいただき、掲載誌をお送り下さいますようお願い申し上げます。メールの場合は、 CSDJapan@cegedim.comへご連絡下さい。

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