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2003/08/08 世界の大型医薬品売上ランキング
2002 医療・医薬品業界のコンサルティング・調査会社ユート・ブレーン(東京03-3270-8741、大阪06-4964-0550)は、「世界の大型医薬品ランキング2002年版」をまとめた。メーカー各社の大型医薬品を単純に集計してランキングしたものではなく、同じオリジナル成分のブランド品売上を合計して世界における売上をまとめたもの。
ユート・ブレーンのまとめた大型医薬品売上ランキングは、各社の決算発表(アニュアル・レポート、連結決算短信等)に基づき、公表されている医薬品の売上をまとめたもの(一部推定)。欧米のメーカーは2002年1〜12月期決算、日本のメーカーは2003年3月期決算(いずれも連結決算)の数字を使っており、為替レートはすべて2002年12月末のレートを使って米ドルに換算している。 ここでまとめた世界売上は、オリジナルメーカーの製品にライセンス先のメーカーの売上(公表されている分)を加えたもので、直接の子会社の売上は加えていない。例えば、三共のメバロチンの場合、欧米のライセンス先であるブリストル・マイヤーズスクイブの売上を加えて世界売上としており、ゾコール(リポバス)については、メルクと万有製薬の売上は合計していない。中にはオリジナルメーカーが世界売上を公表している場合もあるが、ライセンス先売上の基準が同じではないため、公表されている各社の売上を合計している。 次の表に示したように、世界売上が20億ドル以上の製品は24ある。それらの薬効を見ると、高脂血症薬(スタチン製剤)、抗潰瘍剤(PPI、プロトンポンプ阻害剤)、抗うつ剤(SSRI、選択的セロトニン再取込阻害剤またはSNRI、セロトニン・ノルアドレナリン再取込阻害剤)がいずれも3品目以上ある。つまり、大型製品は、このような慢性疾患の薬に集中しており、かつて多く使われた抗生物質は、パテント切れの影響もあり、20億ドル以上のものがなくなった。なお、24品目のうち、日本で未発売の製品が9品目もあり、日本は欧米の市場とは少し異なっていることがうかがえる。 世界売上が20億ドル以上の製品のうち、日本のメーカーがオリジナルである製品は、武田薬品工業の抗潰瘍剤(PPI)、ランソプラゾール(ブランド名タケプロン、プレバシッド、ゾトン等)と、三共のスタチン製剤、プラバスタチン(ブランド名メバロチン、プラバコール等)だけである。ただし、ここの表にはないが、世界売上が10億ドル以上で、日本のメーカーがオリジナルの製品としては、第一製薬の抗生物質レボフロキサシン(クラビット)、山之内製薬の前立腺肥大症治療薬タムスロシン(ハルナール)、武田薬品の抗がん剤リュープロレリン(リュープリン)、降圧剤(AIIRB)カンデサルタン(ブロプレス)及び糖尿病薬ピオグリタゾン(アクトス)がある。このほか、今は外資となった中外製薬のエポエチンベータ(エポジン)もある。 2002年医薬品世界売上ランキング (単位:百万ドル)
ユート・ブレーンの調査による。ブランド名にアミを掛けた品目は日本未発売の製品。 ■市場の大きい薬効の上位製品 大型製品は、一部の薬効に集中する傾向があるため、市場の大きい薬効のうちの4つについて、上位製品とその世界市場概算を示したものが次の表である。要するに、市場が大きくてさらに拡大している薬効の製品を持ち、それを世界で販売することが、医薬品メーカーとして、売上拡大に結びつくことが明らかになっている。市場の小さい薬効や、既にパテントが切れた製品の多い薬効では、よほどのピカ新以外、大きな売上を上げられない。 ★高脂血症用剤/スタチン製剤 いわゆるコレステロール低下剤で、一般名が○○スタチンとなっているため、スタチン製剤と呼ばれる市場である。この市場は世界で191億ドルあり、このような分類では最大の薬効である。日本においても、三共のメバロチンは最大のベストセラーであり、高血圧の薬を飲んでいる人の3分の1がこのスタチン製剤を一緒に飲んでいる。
これは潰瘍の薬であるが、欧米では胸焼けや逆流性食道炎で使われることが多く、市場が142億ドルあり、大きな薬効である。(注:潰瘍であれば、数週間飲めば治癒するのが普通だが、胸焼けや逆流性食道炎は飲み続ける人が多い。)この薬効においても、上位4製品が136億ドルあり、ほとんどを占めている。ただし、2位のプリロゼック/オメプラールは、欧米でパテントが切れており、急激にジェネリックへ移行している。そのため、この薬効で今年の大きな伸びは難しくなってきている。
これも上のPPI市場と同じぐらいの市場規模があり、欧米では多く使われている。ここでも、3位製品はヨーロッパでパテントが切れて減少傾向にあるほか、1位のパキシルも一部の国でジェネリックが登場しており、今後は厳しい状況にある。
降圧剤は昔からいろいろあるため、既にパテントの切れた製品が増えている。降圧剤の中で、ACE阻害剤(アンジオテンシン転換酵素阻害剤)と分類される製品の改良品がAIIRB(アンジオテンシンII受容体拮抗剤)である。これは比較的新しい薬であるため、まだパテントの切れたものはなく、市場が拡大している。現在世界では7つの有効成分があり、競争が激しくなっている。
◆参考:この調査のさらに詳しいランキングや主力薬効の各医薬品売上については、弊社で発行している月刊誌『ファルマ・フューチャー』に掲載しています。ご希望の方はこちらをご購読ください。 本リリースに関する連絡先:ユート・ブレーン大阪本部 永江研太郎 TEL 06-6202-7787/FAX 06-6202-7786
E-mail: international@utobrain.co.jp お願い:このリリースのデータ等を利用される場合は、必ず、出所(出典)として「ユート・ブレーン」をご記入の上、上記宛に掲載紙をお送り下さい。(掲載箇所の頁をFAXでお送りいただいても結構です。)
参考: ユート・ブレーンは、「医薬品産業の国際的事業展開の現状について」など、いくつかの厚生省の委託調査を受けた実績を持つコンサルティング・調査会社です。2001年の世界の大型医薬品売上ランキングは、厚労省の「医薬品産業ビジョン」で使われています。
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