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2003/09/25

世界の大手医薬品メーカーの利益率ランキング2002

ユート・ブレーンは、「世界の大手医薬品メーカーの利益率ランキング」をまとめた。既に公表した医薬品売上30億ドル以上のメーカーについて、税引前利益率や実効税率等をまとめたもの。特に実効税率の違いは、医薬品業界のグローバル化が進む中で、日本やドイツのメーカーの不利な点が目立つことが明らかになった。

税率の高いメーカーはドイツと日本に集中

今回の世界大手医薬品メーカーの利益率ランキングは、以前に公表した2002年の医薬品売上ランキングのうち、30億ドル以上の27社について税引前利益率、実効税率、純利益率をまとめたもの。ただし、買収に伴って赤字であったメーカー(ロシュ、アムジェン)や前年の税が返金されたバイエル、単独の決算が公表されていないTAPの4社は除外している。したがって、27社から4社を引いた23社のランキングである。なお、メルクやアベンティスについては、公表されている医薬品部門だけでの損益計算書に基づいて計算した。また、ここでの実効税率は、単純に税(法人税、所得税等、国によって詳細は異なる)を税引前利益で割って計算したもの。(参考:日本でよく使われる経常利益は欧米の決算では一般的ではなく、何を営業外損益として計上するのかも国やメーカーによって異なり、すべてのメーカーの損益計算書に営業利益の項目があるわけではないため、税引前利益率でのランキングとしている。その影響で、株式売却益の多いワイスが2位に入っており、必ずしも薬による利益率が高いということではない。)

まず、税引前利益率のランキングを見ると、メルクの群を抜く高さが目に付くとともに、武田薬品のように、メルク(世界で医薬品3位)に近い利益率を上げるメーカーが日本にも出てきたことが注目される。

23社の中では、税引前利益率20%台が9社で最も多く、23社のうちで15社が20%以上であることを考えると、世界的大手メーカーとしては、20%台の利益率を上げることが求められているとも言える。しかし、残念ながら、日本の大手では、武田薬品を除く3社は税引前利益率がいずれも20%に満たない。

次に、実効税率を見ると、状況は全く異なる。上位はほとんどがアメリカのメーカーで、17位以下は、日本とドイツのメーカーだけとなっている。そのため、武田薬品のように、4319億円もの税引前利益を上げても、1575億円が税金として消えてしまう。一方、アメリカのイーライ・リリーは、34.6億ドルの税引前利益に対し、税は7.5億ドルだけであり、27.1億ドルの純利益が残る。武田薬品の実効税率がせめて25%であれば、税額は1080億円ですみ、純利益(当期利益)は495億円増える。世界的大手は、20億ドルの研究開発費が必要と言われる中で、この差は大きい。ドイツのメーカーはさらに税率が高く、ベーリンガーやドイツのメルクは、47%前後が税金となっている。アベンティス(独ヘキストと仏ローヌ・プーランが合併)は、税務上の理由からフランスに本社を置いたため、ベーリンガーや独メルクよりも低くなっているが、ドイツにもある程度の本社的機能があるため、サノフィ・サンテラボほど税率は安くなっていない。

以上の結果、税引前利益率で3位の武田が純利益率ランキングは4位、同様に、イーライ・リリーは6位⇒5位となっており、税引前利益額ではリリーの方が少ないにもかかわらず、純利益額では武田の方が少なくなっている。スイスのノバルティスに至っては、63.66億ドルの税引前利益に対し、純利益は52.75億ドルもあるため、それだけ剰余金などの蓄積が増え、研究開発費に投資する上でも圧倒的に有利である。

この状況を考えると、日本やドイツのメーカーは本社機能をアメリカに移した方が有利である。ドイツは医療費を130億ユーロ(1ユーロ130円換算なら1兆6900億円)削減することを目指しており、医薬品抑制策や医薬品メーカーから保険へのリベート引き上げを行う予定であることから、ドイツ本社のメーカーだけでなく、ドイツへ進出している医薬品メーカーも、研究開発部門の本部をイギリスやアメリカに移しつつある。

医薬品業界においても、税制や医薬品行政がメーカーの本社機能に大きな影響を与えるようになっている。大手メーカーの医薬品開発費は1品目当たり8億ドルを超えると言われており、国際的に販売しないと開発費が回収できないため、今後も税制が有利で、医薬品メーカーにとって魅力のある国へ本社的機能を移すメーカーが増えていくと予想される。

※ 表及び詳細はPDFファイルをご覧下さい。

<本リリースに関する連絡先> 大阪本部 永江研太郎
TEL :06-6202-7787/FAX 06-6202-7786 E-mail: international@utobrain.co.jp
住所(大阪本部):〒541-0045 大阪市中央区道修町1-7-10 扶桑道修町ビル

<お願い>
このリリースのデータ等を利用される場合は、必ず、出所(出典)として「ユート・ブレーン」をご記入の上、上記宛に掲載紙をお送り下さい。(掲載箇所の頁をFAXでお送りいただいても結構です。)


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