世界の医薬品メーカーランキングは、各社の決算発表(リリース、連結決算短信、アニュアル・レポート等)で公表されている医療用医薬品売上をまとめたもの。医療用医薬品はワクチンや造影剤を含むが、診断薬、動物薬、栄養剤等は除外している。ただし、*を付けたメーカーは詳細非公表のため、OTC(大衆薬)や診断薬等を含んでいる場合がある。(注:以下の文は速報版と一部重複。)
2005年にはM&Aがいくつかあり、ベルギーの大手2社が買収で30%以上増収となったこともあり、今回の正式版では、上位40社のランキングとした。非上場の大塚製薬の決算が例年より早く、今年は5月に発表されたため、今回の数字はすべて公表数字に基づいたものである。(ただし、27位のバクスターなど、医薬品売上の詳細を公表していないメーカーは一部推定。)為替レートは、年末のレートを用いて計算しているが、2004年末のレートと比べ、2005年末のユーロと円は13%前後下落したため、2004年と売上が同じでも、それだけドル換算数字は下落している(伸び率は発表通貨によるので、米ドル決算以外のメーカーは計算しても合わない)。M&Aがいくつかあり、2004年の順位も前年売上に基づいて入れ直したため、弊社が昨年まとめた順位から変更となったメーカーが多い。
2005年のランキング上位では、1〜3位は前年と同じだが、スイスのノバルティスは15.8%増で4位に上がり、イギリスのアストラゼネカは11.7%増で5位に入った。2004年には4位だったメルクは抗炎症剤バイオックスの販売中止などが響き、7位に下落した。スイスのロシュは、子会社のジェネンテックが売上を一挙に43.5%伸ばしたため(18位)、ロシュも25.7%伸び、200億ドル規模のメーカーとしては驚異的な伸び率となった。2004年に100億ドルクラブに入ったバイオ最大手のアムジェンも、17.8%増えて124.3億ドルとなった。100億ドルクラブに入ったメーカーは13社で、これは2004年と同じである。
ドイツのベーリンガー・インゲルハイムは、降圧剤ミカルディス、閉塞性肺疾患(COPD)治療薬スピリーバ、抗炎症剤モービックなどが好調で、売上を26%伸ばしており、日本の武田を抜いた。その結果、武田、アステラス製薬ともにランクを1つ落としている。
日本の第一三共は、速報版では三共のOTC売上が含まれており、19位だったが、3月期決算でOTCを除いた医療用医薬品売上を公表し、それに基づいた数字では20位となった。
エーザイは、連結決算でOTC売上を含むが、単独決算のOTC売上を差し引いて計算した場合は、バイエルと入れ替わって24位となる。大塚製薬は統合失調症薬のエビリファイ(米名Abilify)が米欧で伸び、12%増となった。TAP製薬(TAP
Pharmaceutical Products)は武田とアボット、メルク・シェリングプラウ製薬はメルクとシェリング・プラウのジョイントベンチャーである(いずれも折半出資)。これらの売上はそれら4社の売上には含まれていないため、世界ランキングに入れている。両社とも2剤だけのメーカーだが、メルク・シェリングプラウ製薬は前年比で2倍以上となり、24億ドルを超えた。ジェネリック最大手のイスラエルのテバ製薬工業(Teva
Pharmaceutical Industries)は50億ドルを超えて22位だが、既に米アイバックスの買収を完了している(後ろの表参照)。
ベルギーの2社(UCB、ソルベイ)は、"医薬品メーカーとして生き残るには30億ドル規模が必要"と見て買収を行った。買収先の売上は買収が完了した日以降の売上しか含まれていないため、2006年にはさらに順位を上げる見込み。特に、抗アレルギー剤ジルテックで知られるUCBは既に化学部門を売却して医薬品専業となり、売上の20%以上をR&Dに投資している。日本のメーカーも将来的に勝ち残るためには、30億ドル以上の規模が求められるだろう。
研究開発費(R&D費)については、世界の上位20社はいずれも11億ドル以上となった。医療用医薬品に占める売上比率で多い大手メーカーは、リリーとシェリング・プラウで、いずれも20%を超えている。
M&A後のランキング
表は既に買収が完了したり、買収が決定したメーカーの売上を買収後の数字に変更したものである。24位のメルクKGaA(ドイツ)以下のメーカーは先の表で1つずつランクが繰り上がる。バイエルによるシエーリングの買収が完了すれば、100億ドル以上は14社に増え、世界のトップ10に入るには153億ドルが必要になる。日本のメーカー同士であれば、日本で1位の武田と2位のアステラスが合併しないと(合計で158.4億ドル)、10位内に入ることは無理である。
また、ジェネリック最大手のテバ製薬工業が75.5億ドルで18位に入ったことが医薬品業界の大きな変化を示している(アイバックス買収は今年2月に完了)。大型新薬が減少している現状では、パテント切れによる売上減を新製品でカバーし続けて売上を伸ばすというブランドメーカーのビジネスモデルは難しくなってきており、ジェネリックビジネスに追い風となっている。世界のジェネリック市場は、2005年に650億ドルで、2010年には1050億ドルに達すると言われている(ジェネリックで世界2位のノバルティスのジェネリック子会社サンドによる)。
<本リリースに関する連絡先>
TEL 06-6202-7787/FAX 06-6202-7786 E-mail: ubinternational-jp@dendrite.com
住所(大阪本部):〒541-0045 大阪市中央区道修町1-7-10 扶桑道修町ビル9F
デンドライトジャパン株式会社 永江研太郎まで
【参考】
世界の医薬品メーカー上位100社は、弊社発行の海外情報誌ファルマ・フューチャー6月号No.188(2006年6月10日発行)に掲載しています。より詳しいデータがご要望の際は、そちらをお申し込み下さい(申し訳ございませんが有料です)。上位100社のうち、日本のメーカーは23社あります。
【お願い】
このリリースのデータ等を利用される場合は、必ず、出所(出典)として「デンドライトジャパン(株)の調査による」とご記入の上、上記宛に掲載紙をお送り下さい。パワーポイント等で利用される場合は、そのファイルを上記メールアドレス宛にお送り下さい。
このランキングは厚生労働省の「医薬品産業ビジョン」でも使われており、毎年、日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞、業界紙、週刊東洋経済、「日本の業界地図」(各社の出版物)、医薬品メーカー各社のリクルート用資料などで、広く使われています。
|