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<ユート・ブレーン ニュースリリース>

世界の医薬品メーカーランキング2007 決算期版

  ユート・ブレーン株式会社(大阪06-6202-7787、東京03-3270-8741)は、毎年恒例の「世界の医薬品メーカーランキング2007−決算期版」をまとめた。為替の換算レートはいずれも12月末のレートを用い、原則として医療用医薬品売上の数字をまとめているが(ワクチンや造影剤を含む)、一部のメーカー(主に非上場メーカー)は詳細非公表のためOTCや検査薬などを含んでいる。

1.100億ドル超は18社で4社増え、初めて日本の武田がランクイン

  100億ドル以上のいわゆる「100億ドルクラブ」に入るメーカーは2006年には14社だったが、2007年にはシエーリングの売上が通年で加わったバイエル・シエーリングのほか、ジェネンテック、武田薬品、シェリング・プラウの4社が100億ドルを超え、全部で18社となった。バイエル・シエーリングの2006年売上には、買収を完了する前のシエーリング分が含まれていなかったため、2007年の前期比伸び率が37.3%と非常に高くなっているが、それ以外では、抗がん剤アバスチンなどが急増したジェネンテックが26.3%増となったほか、イーライ・リリーが19.0%増、アボット・ラボラトリーズが18.8%増といずれも20%近い伸びで好調だった。
  一方、上位3社はいずれも減収となっている。これは降圧剤のノルバスクなど大型品の一部がパテント切れによってその売上が激減する一方、それをカバーするだけの大型新製品が出てきていないためだ。イギリス本社のグラクソ・スミスクラインは▲4.2%で、フランス本社のサノフィ・アベンティスに29億ドル強の差を付けられて3位となった。これは英ポンドが以前から強く、米ドル換算レートが前年末比で1.9%の上昇にとどまったのに対し、ユーロは前年末比で11.6%も上昇したことや、サノフィ・アベンティスの減収が▲1.1%にとどまったことによる。
  世界トップのファイザーは、全社での売上はわずかながらもプラスだったが、医療用医薬品は米売上が▲11.3%の2桁減となったことにより、世界でも▲1.5%で444.2億ドルとなった。ファイザーのトップ製品で医療用医薬品売上の28.5%を占めるリピトールは現在減少傾向にあり、米特許は2010年3月に切れる見込みとなったことから、ある程度の製品を持つメーカーを買収しない限り、現在のままでは2006年の医薬品売上450.8億ドルを超えるのは難しいと見られる。
  4位と5位も順位が逆転しているが、これはノバルティスの米国のブランド医薬品売上が7億ドル以上減少したことや、ノバルティスが米ドル決算であるのに対し、スイスフラン決算のロシュは通貨が前年末比で8.3%上昇したことによる。
  6〜10位のメーカーは順位が変わらず、11位のブリストル・マイヤーズスクイブは一時的に米国で出回っていた抗血栓剤プラビックスのジェネリックが市場から消え、プラビックスの売上が急増したことから、アムジェンを抜いて11位となった。バイエル・シエーリングが12位に上昇したため、アボットとベーリンガーは1つランクダウンしている。
  女性向けや中枢神経系用薬に強いオランダ本社のオルガノンを買収した米のシェリング・プラウ(18位)は、買収を完了した11月以降の売上しか含まれていないが、通年で売上を加えるとベーリンガー・インゲルハイムに続く16位となる。
  日本でトップの武田薬品は、特に2型糖尿病薬アクトスの伸びが貢献して5.8%増となり、円の為替レートも6.0%上昇したことから107.8億ドルで、初めて100億ドルを超えた。
  マイナスとなった上位3社以外は売上を伸ばしており、11社が2桁増だが、ロシュ/ジェネンテックのアバスチンやメルクの子宮頸がん予防ワクチンであるガーダシルのような大型新製品で売上を伸ばしたメーカーは少ない。まだパテントが切れる前の大型品の売上が伸び、他の大型品のパテント切れの影響がなかったか、少なかったメーカーが売上を伸ばしている。既存の大型品(バイオ以外)は2011年までにパテントの切れるものが多く、売上を急速に伸ばせる新製品は一部に限られることから、2007年に2桁増となった世界的大手医薬品メーカーといえども、引き続き売上を伸ばし続けるのは厳しい状況にある。

2.50〜100億ドルは12社で3社増

  50〜100億ドル規模の医薬品メーカーは12社で、2006年の9社から3社増えた。数は増えたが、80億ドル以上は3社だけであり、この規模におけるトップはジェネリック最大手のテバ製薬工業(Teva Pharmaceutical Industries)で、前年比10億ドル増の94.1億ドルとなった。同社はブランド品の多発性硬化症薬コパキソンがあり、これだけで17億ドルを超えている。
  この50〜100億ドルでは12社のうち4社が日本のメーカーで、アステラス製薬、第一三共、エーザイに加え、2007年度は統合失調症薬エビリファイが世界的に好調な大塚製薬が入った。同社は抗がん剤に強い大鵬薬品も連結対象であり、抗がん剤や抗生物質タゾシンの伸びも貢献している。タゾシンは米国でワイスが販売しており、病院の注射用抗生物質としてトップ製品となっている。
  50億ドル台のメーカーが5社あるが、この規模になると、1つか2つの大型品の増減により、売上が大きく変化する。ジョイントベンチャーのメルク/シェリング・プラウ製薬(28位)は高脂血症剤を2品目販売しているだけである。2007年は両剤とも急増したため、33.5%増となったが、2008年に入って公表されたこの製品の臨床試験結果が期待はずれだったことから、2008年は一転して2桁減となる可能性が高い。(注:同社の売上はメルクやシェリング・プラウの売上に含まれないため、ランキングに入れている。41位のTAP製薬も同様。)
  抗潰瘍剤(PPI)のベストセラーの一つであるパントゾール(米名プロトニックス、日本未発売)を持つドイツのアルタナを2006年に買収したニコメッド(29位)は3.0%増となっているが、米でワイスの販売するプロトニックスが予定より2年7カ月も早く、昨年12月下旬にジェネリックが登場した。この結果、ニコメッドが受け取れるはずの米売上も急減している。同社の2位製品は2億ドルに満たないため、2007年売上が全体の48%に相当する24.8億ドルもある同剤の売上が減少すれば、2008年は順位を落とすことになろう。
ベルギーのメーカーである27位のUCBと32位のソルベイは、医薬品メーカーとして30億ドル以上なければ生き残れないとして他国のメーカーを買収したが、2007年は新製品がなく、いずれもマイナスとなった。中堅メーカーを買収したとしても、大型品が伸びて新製品が成功しなければ成長できないことを示している。

◆40億ドル以下の日本のメーカー

 日本のメーカーでは、田辺三菱製薬が36位に入っているが、伸び率は1.4%で、2006年度の2社合計売上で計算したランキングより順位を1つ落としている。(注:2006年のM&Aで多くのメーカーが消えたため、2006年のランキングは2007年のメーカーで順位を付け直している。)基本的に、欧米大手の平均的な伸びを下回ると、それだけ世界的にみたシェアも低下する。
30億ドル以下の日本の主な3社を参考として示した。この中のトップは53位の大日本住友製薬で、医薬品売上の22%以上を研究開発費に投じているが、トップ製品の降圧剤アムロジンにジェネリックが登場することもあり、それに代わる柱となる製品を持たなければ、世界的に見てこの規模での生き残りは厳しいだろう。 キリンに買収される予定の協和発酵は、60位の小野薬品より少し下に位置するが、決算期の異なる両社売上を単純に合計すると18.4億ドルで、大日本住友製薬の次となる。従来型のメーカーより、世界的に需要が高まっている抗体医薬に強みを持つ「協和発酵キリン」の方が将来性は期待される。

3.まとめ

  全体的に見て、世界的大手でマイナスとなったメーカーは少なかったものの、ヨーロッパ売上が伸びた米メーカーはユーロ高が貢献した部分がある。2桁伸びているメーカーでもパテント切れの近づく大型品が好調で、パテント切れ品の影響をあまり受けなかったメーカーが多い。最近は米に限らず、ヨーロッパでもジェネリック登場後の売上が急減する傾向が強まっており、パテント切れの近い大型品を持つメーカーは、今後も安泰とは言えない。同クラスのライバル品にジェネリックが登場するだけでも売上減になる可能性が高くなっているためだ。特に30億ドル以上の超大型品のパテントが切れて急減する場合、それをカバーできるだけの新製品がいくつかなければ売上増は不可能であり、市場の大きい米国における新製品の認可の遅れも大きな影響を与えている。

参考:このメーカーランキングの詳細(5億ドル以上の世界のメーカーランキング等)は、「ファルマ・フューチャー」2008年6月号に掲載予定。10億ドル以上のメーカーランキングについては、2007年5月号に掲載済み。(これらは有料です。)

本リリースに関する連絡先:大阪本部 永江研太郎

TEL 06-6202-7787/FAX 06-6202-7786 E-mail: ubinternational@utobrain.co.jp

住所(大阪本部):〒541-0045 大阪市中央区道修町1-7-10 扶桑道修町ビル9F

ユート・ブレーン株式会社


お願い:このリリースのデータ等を利用される場合は、必ず、出所(出典)として「ユート・ブレーンの調査による」とご記入の上、上記宛に掲載紙(誌)をお送り下さい。

このランキングは毎年、日本経済新聞、朝日新聞、業界紙、週刊東洋経済、「業界地図」(各社の出版物)、医薬品メーカー各社のリクルート用資料などで、医薬品業界の標準データとして広く使われています。厚生労働省が昨年発表した「新医薬品産業ビジョン」でも使われています。

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