セジデム・ストラテジックデータ株式会社 ユート・ブレーン事業部

世界の医薬品メーカーの医薬品売上高ランキング2012年

パテント切れで大手3社が2桁減、100億ドル超は1社減の19社に

セジデム・ストラテジックデータ株式会社ユート・ブレーン事業部(本社大阪市)は、毎年恒例となっている2012年度の世界の医薬品メーカーの医薬品売上高ランキングをまとめた。

2012年世界の医薬品売上高ランキング

12順 11順 メーカー名 国名 2012年 前期比 R&D費 全売上高 2011年
1 1 ファイザー 51,214 -11.3% 7,870 58,986 57,747
2 2 ノバルティス スイス 46,732 -2.5% 9,041 56,673 47,925
3 3 メルク 40,601 -1.7% 8,168 47,267 41,289
4 5 ロシュ スイス 40,514 8.1% 9,332 49,785 36,439
5 4 サノフィ フランス 39,328 -5.1% 6,288 46,182 40,607
6 6 グラクソ・スミスクライン 34,934 -3.9% 6,410 42,694 34,771
7 7 アストラゼネカ 27,925 -15.3% 5,243 27,973 32,981
8 8 ジョンソン&ジョンソン 25,351 4.0% 5,362 67,224 24,368
9 10 アボット・ラボラトリーズ 23,133 3.1% 4,322 39,874 22,435
10 9 イーライ・リリー 20,567 -9.0% 5,278 22,603 22,608
11 13 テバ製薬工業 イスラエル 18,535 11.1% 1,356 20,317 16,689
参考 アッヴィ 18,380 5.4% 2,778 18,380 17,444
12 11 ブリストル・マイヤーズスクイブ 17,621 -17.1% 3,904 17,621 21,244
13 14 アムジェン 17,265 10.8% 3,380 17,265 15,582
14 12 武田薬品工業 1303 16,317 3.2% 3,775 18,128 17,556
15 15 ベーリンガー・インゲルハイム ドイツ 16,011 12.3% 3,694 18,621 13,976
16 16 バイエル・ヘルスケア ドイツ 15,210 8.2% 2,071 52,543 13,774
17 18 ノボ・ノルディスク デンマーク 13,826 17.6% 1,931 13,826 11,557
18 17 アステラス製薬 1303 11,705 3.7% 2,117 11,705 12,523
19 19 第一三共 1303 11,068 6.5% 2,130 11,616 11,535
20 20 大塚ホールディングス 1303 9,905 8.8% 2,240 14,179 10,106
21 21 ギリアド・サイエンシズ 9,703 15.7% 1,760 9,703 8,385
22 24 メルク・セローノ ドイツ 8,464 8.2% 1,569 14,765 7,666
23 23 バクスター・インターナショナル 8,053 3.1% 1,156 14,190 7,810
24 25 マイラン 6,750 10.5% 401 6,796 6,106
25 22 エーザイ 1303 6,079 -9.9% 1,402 6,678 7,488
26 27 バイオジェン・アイデック 5,516 9.2% 1,335 5,516 5,049
27 30 セルジーン 5,507 13.7% 1,724 5,507 4,842
28 28 セルビエ フランス 5,154 1.3% 1,288 5,154 4,985
参考 新アボット・ラボラトリーズ 5,121 -5.4% 不明 39,874 5,413
29 38 アクタビス(旧ワトソン製薬) 4,929 29.4% 402 5,915 3,808
30 32 アラガン 4,785 8.0% 990 5,806 4,432
31 26 田辺三菱製薬 1303 4,766 4.4% 774 4,880 5,067
32 33 CSL(CSLベーリング)1206 オーストラリア 4,753 6.8% 368 4,753 4,368
33 34 シャイアー アイルランド 4,681 9.8% 966 4,681 4,263
34 35 UCB ベルギー 4,575 6.7% 1,176 4,575 4,203
35 29 中外製薬 4,554 4.7% 641 4,554 4,826

※単位:百万ドル

これは各社の公表データを基に、医療用医薬品、ワクチン、造影剤、ロイヤリティなどの売上高を集計し、OTCや診断薬、検査薬などは除外したもの。 ただし、非上場メーカーなど詳細不明のメーカーはOTCなど他の事業を含んでいるところもある。 表に示した45億ドル以上の上位35社のうち、日本のメーカーは中外製薬を除いて2013年3月期決算の数字で(メーカー名の後ろに1303と表記)、 オーストラリアの血液製剤の大手CSL(32位)は2012年6月期決算、それら以外は12月期決算。 為替レートは毎回12月末のレートで換算しており、ドル対円は2011年12月末から9.9%下落し、ユーロは2.1%高くなった。 日本のメーカーは売上高が同じでもドル換算値は9.9%減少する。大塚ホールディングスは医薬品売上高が8.8%増加したが、円安の影響でわずかながら100億ドルを割った。 (参考:1ドル=11年77.399円、12年85.903円で換算しており、13年末が1ドル100円なら、2013年ランキングの日本のメーカーのドル換算値は14.1%下落する。) 2011年の数字にアミを掛けたメーカーは、2011年の数字を変更して発表しており、前回の2011年ランキング掲載の数字と異なる。 アボット・ラボラトリーズは2013年からヒュミラを中心としたブランド医薬品事業を「アッヴィ」として分離独立させ、アボットはジェネリック事業だけとなったため、 公表されたアッヴィと新アボット・ラボラトリーズの数字を参考値として入れた。

100億ドル超のメーカーは19社に減少:

前回の2011年版ランキングで「100億ドルクラブ」に入った大塚ホールディングスが8.8%の増収にもかかわらず円安の影響で99.05億ドルとなり、 100億ドル超は1社減少して19社となった。大手では、1位のファイザーがリピトール等のパテント切れで11.3%減(65.33億ドル減)、 7位のアストラゼネカはセロクエル、アタカンド(日本名ブロプレス)等のパテント切れで15.3%減(50.56億ドル減)、 12位のブリストル・マイヤーズスクイブはプラビックス、アバプロのパテント切れで17.1%減(36.23億ドル減)など3社が2桁減となり、 100億ドルクラブの19社のうち8社が減収となった。大塚を含む 上位20社の医薬品売上高の合計は、2011年の5052.3億ドルから2012年は4977.6億ドルとなり、74.7億ドル減少した。


世界的超大型品の売上急減が大手を直撃:

世界の超大型品のパテント切れにより、弊社でまとめている世界の大型医薬品は大きく変化した。

2012年Top10

製品名 12年売上 前期比
1 ヒュミラ 9,603 17%
2 レミケード 9,071 1%
3 エンブレル 8,476 7%
4 アドエア 8,216 4%
5 クレストール 7,430 -6%
6 リツキサン 7,227 -2%
7 ランタス 6,555 19%
8 ハーセプチン 6,444 11%
9 アバスチン 6,307 6%
10 ジャヌビア 6,208 22%
合計 75,537 -8%
バイオ合計 53,683
バイオ割合 71.1%

※単位:百万ドル

2011年Top10

製品名 11年売上
1 リピトール 10,860
2 プラビックス 9,729
3 レミケード 9,016
4 ヒュミラ 8,242
5 クレストール 7,919
6 エンブレル 7,902
7 アドエア 7,891
8 リツキサン 7,386
9 ディオバン 6,984
10 セロクエル 6,187
合計 82,116
バイオ合計 32,546
バイオ割合 39.6%

※単位:百万ドル


表に2012年/2011年のトップ10を示したが、トップ10の売上高合計は初めて減少に転じ、8%減の755.4億ドルとなり、65.8億ドル減少した。 トップ10のうち表でアミを掛けたバイオ医薬品は2011年の4製品から2012年は7製品となり、トップ10の売上高合計に占めるバイオの割合は39.6%から一挙に71.1%へ増加した。 2011年のトップ10はいずれも世界的大手の主力品であり、低分子医薬品と呼ばれるバイオでない医薬品のパテント切れによる激減(パテントクリフ)が大手を直撃した。 2012年のリピトールは50.3億ドルで、2011年の108.6億ドルから減少した58.3億ドル分がジェネリックに切り替わった計算だ。 2012年には特に20億ドル以上の超大型の低分子医薬品の売上急減により、欧米先進国の多くはブランド品市場が縮小した。 その結果、大手20社のうちで8社が減収となり、世界的に医薬品市場は大転換期に入った。 大型品を持つ世界的大手は、バイオ医薬品がある程度を占めるメーカーでなければ、低分子医薬品の伸びや新製品だけではパテント切れによる売上減をカバーできない時代に入っている。

R&D費のランキング:

R&D費ランキング2012

メーカー名 R&D費
1 ロシュ 9,332
2 ノバルティス 9,041
3 メルク 8,168
4 ファイザー 7,870
5 グラクソ・スミスクライン 6,410
6 サノフィ 6,288
7 ジョンソン&ジョンソン 5,362
8 イーライ・リリー 5,278
9 アストラゼネカ 5,243
10 アボット・ラボラトリーズ 4,322
11 ブリストル・マイヤーズスクイブ 3,904
12 武田薬品工業  3,775
13 ベーリンガー・インゲルハイム 3,694
14 アムジェン 3,380
アッヴィ 2,778
15 大塚ホールディングス 2,240
16 第一三共 2,130
17 アステラス製薬 2,117
18 バイエル・ヘルスケア 2,071
19 ノボ・ノルディスク 1,931
20 ギリアド・サイエンシズ 1,760
21 セルジーン 1,724
22 メルク・セローノ 1,569
23 エーザイ 1,402
24 テバ製薬工業 1,356
25 バイオジェン・アイデック 1,335
26 セルビエ(概数)* 1,288
27 UCB 1,176
28 バクスター・インターナショナル 1,156
10億ドル以上合計 105,322

※単位:百万ドル
※合計額はアッヴィを除く28社

表に示したのは、10億ドル以上のR&D費(研究開発費)を投じた28社のランキング。 1位は2011年のノバルティスからロシュに交代し、2011年に2位で91.1億ドルを投じていたファイザーは世界のR&D施設の一部を閉鎖・売却してR&D担当者も大幅に減らした結果、 78.7億ドルとなり、12.4億ドル減少した。このように減らした大手もあるが、新製品を出さなければパテント切れによる減収は避けられず、 バイオの開発品が増えていることや、安全性がより求められるために治験患者数が増え、 欧州諸国では新製品の償還や薬価の決定に際して提出すべきデータが増えている影響もあり、医薬品売上高に占めるR&D比率は上昇傾向にある。 大手ではイーライ・リリーが25.7%を投じており、大手10社の平均は19.6%に達している。

2012年世界の医薬品売上高ランキングについて

 この医薬品メーカーのランキングの詳細は、月刊情報誌「ファルマ・フューチャー」の2013年5月号に掲載しています。 このランキングでは世界の医薬品売上高5億ドル以上の124社と、参考データとして3〜5億ドルの16社を取り上げています。 このほか、薬効別ランキングとして、バイオの抗リウマチ薬やARBを含む世界のブランド品市場をまとめたものを掲載しています。 ここでトップ10を紹介した2012年の世界の大型医薬品売上高ランキング(5億ドル以上及び参考として3〜5億ドルの製品)は、 「ファルマ・フューチャー」の2013年6月号(7月上旬発行予定)に掲載します。 6月号では抗がん剤、糖尿病薬、スタチンなど他の薬効別ランキングも掲載しています。
「ファルマ・フューチャー」誌の詳細、お申込みはこちらをご覧ください。

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Email: ubinternational@utobrain.co.jp

お願い:データを引用される場合

この医薬品メーカーランキングは、厚労省の新しい「医薬品産業ビジョン2013」で2011年のランキングが使われているほか、 日本経済新聞、朝日新聞等の一般紙、週刊東洋経済、週刊ダイヤモンド等の経済誌、各社の「業界地図」などで毎年利用されています。 利用される場合は、上記宛にメール・電話等でご連絡いただき、掲載誌をお送り下さいますようお願い申し上げます。引用される場合、 「出所:セジデム・ストラテジックデータの調査による」「出典:セジデム・ストラテジックデータ(株)ユート・ブレーン事業部」等と入れていただけますようお願い申し上げます。 ホームページ等で取り上げられる場合は、上記EメールへURLをお送り下さい。