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ルネサンスとは何であったのか表紙写真

「ルネサンスとは何であったのか」

著  者:塩野七生
出 版 社:新潮社
定  価:1,600円(税別)
ISBN:4−10−646501−9

映画「第三の男」をご覧になった方は多いと思うが、この本の中にもオーソン・ウェルズが扮する第三の男の台詞が再現されている。

「ルネサンス時代のイタリアはボルジア家や悪がはびこる激動の世界であったにもかかわらず、偉大なるルネサンス文化を創り出した。清く平穏なスイスは鳩時計を創っただけではないか」 ルネサンス期とは、西暦1200年から1550年の間を指している。そこにはローマ帝国が滅亡して中世の時代に入り、その価値観が崩壊したために、新しい価値観を創り出さなければならなかったという背景がある。

“見たい”“知りたい”“分かりたい”という欲望が爆発したのは中世に押さえられていたからだ、と塩野七生さんが会話形式でわかりやすくルネサンス期を解説してくれる。

また、ルネサンス期が現代に遺した3つの価値観についても触れられている。

  1. われわれ現代人が肉眼でも見ることのできる芸術品の数々、これらを心の眼でも見られればより役に立つ
  2. 精神の独立に対する強烈な執着、言い換えれば自分の目で見、自分の頭で考え、自分の言葉ないし手で表現することよって、他者に伝える生き方である
  3. 二元論ではなく、一元論的な考え方。善と悪、精神と肉体、神と悪霊という2つの「元」に分かれる考え方ではなく、神さえも「善」と「悪」の双方をともに持つ存在とされていた

この時代に生きた人は、政治家でも経済人でも創作者にならざるを得なかったのである。この時代に生きた人の経験は21世紀を生きるわれわれにとって大きな遺産に値する。


北原 秀猛

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キーワード
•  塩野七生
•  ルネサンス
•  ローマ帝国
•  一元論


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