著者のエリヤフ・ゴールドラット氏はTOC(Theory Of Constraints=制約条件の理論)の提唱者であり、単なる生産管理の理論から新しい会計方法や一般的問題解決の手法(思考プロセス)へと展開させ、さまざまな業界のあらゆる問題解決に応用できる手法体系へと発展させた。
この本は小説であり、主人公のアレックス・ロゴが任せられている工場は在庫の山、顧客からの注文はいつも遅れている毎日で、工場は「火消し作業」に追われていた。ある日、飛行場で偶然にもロゴは大学時代の恩師ジョナと再会し、それがきっかけで工場の問題を解決していくといったストーリーになっている。
この小説の中で、企業の究極の目的は「現在から将来にかけて金を儲け続けること」と定義している。企業が金を儲けるには、スループット(販売を通じて金を儲ける割合のことで、売上から資材費を引いた金額)を増やすか、在庫を減らすか、経費を減らすという3つの方法しかない。TOCでは、このうちスループットを増やすということが最も重要だと説く。
物語は、主人公アレックス・ロゴが工場閉鎖を突然告げられるところから始まるが、恩師の教授に再会し、教授のジョナはこれまでの生産現場での常識を覆す考え方で、ロゴの工場が抱える諸問題を次々に科学的に解明していく物語である。
1984年にアメリカで出版され、全米で250万部を突破して売れている本である。日本では2001年5月17日に初版が出版され、著者が述べている問題に対処する場合、大切なことは、包括的なニーズに応えられる思考プロセスを開発することだとして次の3点を挙げている。
- 誤ったポリシー、つまり制約条件をすばやく見つけ出す
- 副産物としての破壊的な問題を引き起こすことのない新しいポリシーを策定する
- 社内から抵抗があってもこれに屈しない導入計画を構築する
考え方のヒントを多く含んだ本と言える。
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