HOME
会社概要
セミナー
教育関連
海外情報
書籍
お問い合わせ
ワールドネット
HOMEUBブックレビュー詳細





プリンシプルのない日本表紙写真

プリンシプルのない日本

著  者:白洲 次郎
出 版 社:ワイアンドエフ株式会社
定  価:1,600円(税別)
ISBN:4−944−12413−9

故白洲次郎氏は、明治生まれの気骨の持ち主で、イギリスのケンブリッジ大学クレア・カレッジに留学、貿易庁長官や吉田茂首相の特使、東北電力会長などを歴任した。遺書に「葬式無用・戒名不用」を遺したことも有名である。

作家の今日出海の「育ちのいい野蛮人」という人物評が的を射ていると言われる文章は、51年から69年頃に文藝春秋や週刊朝日、日本経済新聞などに記載されたものである。「或る一つの政治イデオロギーというものを持ってる人と話をするとする。それが資本主義であろうが社会主義であろうが何でもいい。ところが個人的に話しているときの、その人の政治思想というものを、演説したり、物を書いたりするときとは違っているのだ。というのは、彼等にとってイデオロギーというものは単なる道具なのだ。自分では思想だと思っている。だからはっきり言えば、彼等には思想がないのだ。その結果、たとえば論争が展開された場合に、その論争というものが、両方の人が持っているいわゆるイデオロギーから出た論争なのである。だからいつでも感情問題になって、喧嘩になってしまう」。今の政治家もイデオロギーは単なる道具になっているのではないかと、非常に強く感じるのは私だけであろうか。プリンシプルについて彼は以下のように述べている。「プリンシプルは何と訳してよいかは知らない。原則とでもいうのか。日本もますます国際社会の一員となり、我々もますます外国人との接触が多くなる。西洋人と付き合うには、すべての言動にプリンシプルがはっきりしていることは絶対に必要である。日本も明治維新前までの武士階級等では、すべての言動は本能的にプリンシプルによらなければならないという教育を徹底的にたたき込まれたものらしい。残念ながら、我々日本人の日常はプリンシプル不在の言動の連続であるように思われる」と述べている。

今日は彼がこの文章を書いた1969年よりも一層プリンシプルのない国になってしまった感が強い。日本人全員がプリンシプル−principleについて考えてみなければならない。


北原 秀猛

関連情報
この記事はお役にたちましたか?Yes | No
この記事に対する問い合わせ

この記事に対する
キーワード
•  白洲次郎
•  今日出海
•  イデオロギー
•  プリンシプル
•  principle


HOMEUBブックレビュー詳細 Page Top



掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
著作権はセジデム・ストラテジックデータ株式会社またはその情報提供機関に帰属します。
Copyright © CEGEDIM All Rights Reserved.