ハーバード・ビジネススクールの機関紙「Harvard Business Review」の論文集の中からネットワークに関連する論文をドン・タプスコット氏が編集した本である。
内容は7章に分かれ、知識時代における企業経営の対応のあり方について書かれた本である。
知識が価値創造の基礎になれば仕事と学習は同じものになる。知識は競争優位の核心だから、企業は従業員に生涯学習の機会を提供する必要があり、多くの進歩的な企業や民間組織に、かつて無いほど従業員の訓練や生涯学習に大きな責任を引き受けている。経済成長の次の波は知識を基盤とした企業からもたらされる。情報を知識に変える方法を知っている企業こそが最も成功する。
- 「情報」は意味のあるパターンにアレンジされたデータである。
- 「知識」とは情報の応用と有効活用を意味する。
ITの進歩はいまや企業が数年前には不可能だったさまざまな手法で顧客ニーズを感知することを可能にし、すでに多くの有力企業がこれらの新しい能力を利用しはじめている。
すべての人が携帯電話を持つようになると、電話は場所に属するものではなくなり、いままでとは異質なものとなる。もし、将来、オフイスというものがあるとすればそれは人々が集まり、食事をし、挨拶を交わす場所であって特別な人たちのための場所ではなく、活動のための場所としてクラブハウス的な位置づけとして存在する。
成功する企業とは、急速かつ効果的に進化する企業である。伝統的な製薬企業の生態系の場合、3つの主要な機能がある。一つは研究開発、そしてテストと認可手続きの管理、もう一つがマーケティングと販売である。これからは病院に直接マーケティングしたり、販売することが少なくなり、第三者、支払い者や政府を代表する専門家との交渉が中心になっていくだろう。そして、企業にとって決定的に重要な企業を企業生態学的見地から分析するのも重要である。などと述べている。
そして、これからのリアルタイム・マーケティングのための3つのポイントを挙げている。
- 顧客から企業に接触する機会を提供し、顧客の行動の観察と情報のフィードバックを行う。
- 顧客のロイヤルティをつかむために必要な顧客満足度やサポート、助力、ガイダンス、情報のリアルタイムな提供に重点を置く。
- ITによって顧客の行動とマーケティングの変化を積極的に学習し、マーケティングの新しい役割について考える。
以上のように知識時代に入り、IT革命と相まって経営のあり方は大きく変わってきている。生態系の中で述べているように、医療の標準化が進めば進むほどMRが病院に直接マーケティングを行うことが少なくなるかも知れない。また、リアルタイム・マーケティングの中にあるように、顧客を患者に置き換えて考えれば患者が製薬企業に接触する機会を多く設け、製品の開発や改善に繋げることが大切で、そのことがブランドの確立となり患者の心に浸透し薬剤を指名するアクションに結びつくものとなる。
このように業界に置き換えて読むと多くのヒントを得ることができる。
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