現代は「一流人」を目指すのが難しい時代であると言い、その理由の一つは、「悪しき平等主義と嫉妬心の蔓にある」と言う。「一流人」の条件は、その知力、人心掌握術、アイデンティティー、自己管理術である。一流人を阻む嫉妬心が強いというのはどういうことかと言うと、「自分は特別だ」、「自分は他の人間とは違う」と考えるから嫉妬心が強くなるのである。自分が最高だと思う気持ちがあるから、自分より優れた能力に出会うと嫉妬するのである。嫉妬の炎が燃え上がるのは、他人が自分にないもの、自分が欲しているものをすでに持っているからである。
「人も良かれ、われも良かれ、我は人よりちょっと良かれ」の精神が良い。
人の才能に嫉妬すると言うのは、同じ才能を持つた者同士の間で生じるものだ。お殿様やお姫様がいた時代には、平民が彼らに嫉妬するということはなかった。ところが民主主義の世の中になった途端に普通の女の子でもお姫様のようになれそうになった。けれども、なれない。そこに嫉妬が生まれ始めたのである。
一流の人を目指すのなら自分の考えを発信し、影響を与えるコミュニケーション能力が問われる。基本的に人間が成功するか否かは自己と同一になろうが、自己実現しようが関係ない。現在自分が置かれている場所や位置、あるいは広く言えば国に対してどれだけの帰属意識を持っているのかが問題だ。この帰属意識が強ければ強いほど成功への道は近くなる。何かで成功しようと思うのなら、自分の所属する場所や国、あるいは自分の現在の仕事に徹底して帰属意識を持つことが大切になる、などと問い掛けている。
不平不満の多い人ほど自律と他律の区別がつかない。自分自身が現在どのような立場に置かれているのか、今自分の為すべきことは何か、など考えるヒントになる本である。
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