HOME
会社概要
セミナー
教育関連
海外情報
書籍
お問い合わせ
ワールドネット
HOMEUBブックレビュー詳細





ジャック・ウェルチ わが経営(上卷)表紙写真

ジャック・ウェルチ わが経営(上卷)

原  題:JACK Straight from the Gut
著  者:ジャック・ウェルチ、ジョン・バーン
訳  者:宮本 喜一
出 版 社:日本経済新聞社
定  価:1,600円(税別)
ISBN:4−532−16400−1

GE(ゼネラル・エレクトリック・カンパニー)の会長職にあったMr JACK・WELCHがジェフリー・R・イメルト氏に次期の会長兼CEOを譲り、この本を執筆した。粗筋は日本経済新聞の「私の履歴書」に連載された。

本の最初のページは、「数10万のGE社員に捧げる その人たちの知恵と努力のおかげで私はこの本を書くことができた」と記している。

上巻は2部14章に分かれている。1981年、ピエール・ホテルで「ビジョン」を掲げたスピーチでウェルチ時代の幕を開けた。彼は「ビジネスとは超一流のレストランのようなものだ」と語っている。CEOという仕事で何よりも重要なのは、75%近くが人にかかわることで、その他のことは25%に過ぎない、とも言う。そして、「私のリーダシップに何かスタイルがあるとすれば、人間のもてる力を最大限に引き出す、人に自信をつけさせることがリーダーの仕事だ。部下が過ちを犯したとき、もっとも避けなければならないのは厳しい懲罰だ。このときこそ本人を励まして信頼感が生まれるようにすべきだ。のびのびと働ける会社―毎日現実に立ち向かう自信あふれる起業家でいっぱいの会社にしたかった。」

将来の勝ち組みはどういう企業かを考えたときに、彼の名言「集団から抜け出し、ひたすらナンバーワン、あるいはナンバーツーをめざす企業になることです。スリムであること、コストが最低であること、そして製品とサービスのクオリティーが世界水準であることに関してナンバーワンかナンバーツーという意味だ」と言う。ナンバーワンかナンバーツーでなければ再建か、売却か、さもなければ閉鎖を実践してきた。

人材に関しては、素晴らしい人材はどんな方法ででも見つけだせる。私は常に「出会う人は誰でも候補者だ」という言葉を信じていたと言う。GEでは毎日、食堂や廊下、会議の席上などあらゆる場面で、形式にとらわれない暗黙の人事評価がおこなわれている。あくまで人間に焦点をしぼったやり方、つまり全社員をあらゆる環境で試す姿勢がGEの経営特徴になっている。業績評価をもとに社員はAプレーヤー、Bプレーヤー、Cプレーヤーに分類される。Aプレーヤーは、情熱にあふれ行動力があり、どこからでもアイデアを取り入れようとする姿勢を崩さず、さまざまな面で集団から飛び抜けている社員だ。自分自身が奮起するのは勿論だが、自分と接する者すべての活力を引き出す能力を持っている。仕事を効率化すると同時に愉しくもする。Aプレーヤーには“GEのリーダーに必要な4つのE”がある。活力に満ちあふれ(ENERGY)、目標に向かって周りの人間の活力を引き出し(ENCRGIZE),難しい問題でYES,NOをはっきりさせるだけの決断力あり(EDGE)、常に言ったことを実行する実行力がある(EXECUTE)、の4つのEである。

  • Aプレーヤー:情熱にあふれ、行動力があり、どこからでもアイデアを取り入れようとする姿勢を崩さず、さまざまな面で集団から飛び抜けている社員だ。自分自身が奮起するのは勿論だが、自分と接する者すべての活力を引き出す能力を持っている。仕事を効率化すると同時に楽しくもする。
  • Bプレーヤー:GEの中核を担い、事業の成功のカギを握っている。われわれはBプレーヤーを引き上げようと力を尽くしている。Aになるには何が欠けているのかを日々探求してくれるよう期待している。それを助けるのがマネジャーの仕事だ。
  • Cプレーヤー:仕事が出来ない人間のことだ。周りをやる気にさせるのではなく、やる気を萎えさせる。物事を実行するのではなく、先延ばしする。こうした社員のために時間を無駄にすることはできない。ただし、彼らを活かすための転職にも経営資源を使っている。

部下を上位20%、中位70%、下位10%、にランク付けするマネジャーには厳しい決断力が必要だ。部下の選別が出来ないマネジャーは、すぐに自分自身がCのプレーヤーとなる。Aのプレーヤーの昇給はBプレーヤーの2倍から3倍にすべきだ。Bには毎年、功績を認め確実な昇給を与える。Cは昇給しない。

マネジャーを4つのタイプに分類
  • タイプ1.業績目標を達成して、GEの価値観を共有している人。その将来ははっきりしている。昇進が待っている。
  • タイプ2.業績目標を達成できず、GEの価値観を共有できない人。将来は辞めざるをえない。
  • タイプ3.業績目標を達成できていないがGEの価値観を共有している人。仕事の環境を変え2、3回チャンスを与えれば能力をのばす可能性がある。実際見事に復活した例もある。
  • タイプ4.一番扱いにくいタイプ。業績目標はすべて達成するが、GEの価値観を共有してない人。このタイプには、部下にやる気を起こさせるのではなく、無理やりに尻を叩いて結果を出させる人が多い。ワンマンであり暴君だ。しかし、そうした欠点を大目に見てしまうことが少なくない。このタイプのマネジャーを抱えておくことは出来ない。

GE社員全員の価値観の1つが、「常に揺るぎない誠実さを貫く」である。

以上が上巻の戦略と人に関する主な部分である。この本は経営者にとっても、また幹部の方、一般社員にとっても、参考にすべきところが多い。個人にとっても大変役立つ本であると思う。下巻は12月の後半に流す予定。


北原 秀猛

関連情報
この記事はお役にたちましたか?Yes | No
この記事に対する問い合わせ

この記事に対する
キーワード
•  GE
•  Mr JACK・WELCH
•  リーダーシップ
•  人事評価
•  価値観


HOMEUBブックレビュー詳細 Page Top



掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
著作権はセジデム・ストラテジックデータ株式会社またはその情報提供機関に帰属します。
Copyright © CEGEDIM All Rights Reserved.