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ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則 表紙写真

ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則

GOOD TO GREAT
著  者:ジェームズ・C・コリンズ
訳  者:山岡 洋一
出 版 社:日経BP社
定  価:2,200円(税別)
ISBN:4−8222−4263−3

著者のジェームス・C・コリンズはスタンフォード大学経営学大学院教授を経て、現在はコロラド州ボールダーで経営研究所を主宰。1995年9月に日本で発売された「ビジョナリー・カンパニー」は、全米で5年間にわたる100万部以上のベストセラー本である。その時はジム・コリンズとの共著であった。その第2弾である本書は、6年の歳月をかけて「良い企業」と「偉大な企業」の違いを調べ上げ、そこから得られた知見を偉大な企業の法則としてまとめたものである。

本書の出発点は、あるコンサルタントに「ビジョナリー・カンパニーは素晴らしい本だが役にたたない」と批判されたことにはじまる。ビジョナリー・カンパニーと評価された企業は、いずれも偉大な創業者によって創りあげられたもともとグレートな会社なので、グレートに飛躍できない企業の手本にはならない。このような指摘から、本書の基底にある「どうすれば、グッド・カンパニーはグレート・カンパニーになれるのか」という新たな問が生まれた。

本書で取り上げられたグレート・カンパニーは11社。飛躍をもたらした11人のCEOのうち10人は内部昇進であった。飛躍した企業は、偉大になるために「成すべきこと」に関心を集中させたわけではなかった。それと変わらぬほど、「してはならないこと」と「止めるべきこと」を重視している。彼らが最初に指摘するのは、「第五水準のリーダーシップ」と呼ぶ、優れた経営幹部の存在である。万事に控えめで、物静かで、内気で、恥ずかしがり屋ですらある。個人としての謙虚さと、職業人としての意思の強さという一見矛盾した組み合わせを特徴としている。さらに付け加えて偉大な企業への飛躍を指導したリーダーは、最初に適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、適切な人がそれぞれふさわしい席に座ってから、どこに向かうべきかを決めている。「“人材こそがもっとも重要な資産だ”という格言は間違っていた。人材が最重要の資産なのではない。適切な人材こそがもっとも重要な資産なのだ」と結論づけている。

そして、第五水準のリーダーたちは、まず適切な人材として規律ある人々を慎重に選り抜き、その後で目標を立てた。規律ある人々で構成される組織は、外部環境の変化に適応しやすく、従業員の動機づけや管理の問題からも解放される。彼らの戦略は「どんな困難にぶつかっても最後には必ず世界一になれるのだという確信をもつと同時に、自分がおかれている現実を直視する」ということと、「規律ある人々との徹底的な対話を通じて自分たちが世界一になれる分野となれない分野を見極め、なれる分野にエネルギーと情熱を傾注する」という2つの原則を軸に構成されている。

  • 第1水準:有能な個人―――才能、知識、スキル、勤勉さによって生産的な仕事をする
  • 第2水準:組織に寄与する個人―――組織目標の達成のために自分の能力を発揮し、組織のなかで他の人たちとうまく協力する
  • 第3水準:有能な管理者―――人と資源を組織化し、決められた目標を効率的に効果的に追求する
  • 第4水準:有能な経営者―――明確で説得力のあるビジョンヘの支持と、ビジョンの実現に向けた努力を生み出し、これまでより高い水準の業を達成するよう組織に刺激を与える
  • 第5水準:第5水準の経営者―――個人としての謙虚と職業人としての意思の強さという矛盾した性格の組み合わせによって、偉大さを持続できる企業をつくりあげる

以上が第5水準までの段階である。先にも示したように、彼らが最初に指摘しているように、「第5水準のリーダーシップ」の重要性である。この指導者は、自尊心の対象を自分自身にではなく、偉大な企業を作るという大きな目標に向けている。

謙虚さ+不屈の精神=第5水準
さらに、コリンズらは、グレート・カンパニーの特質として規律の文化を強調している。

最後にこの本の内容を解説している、一橋大学大学院国際企業戦略研究科の教授である野中郁次郎氏の文章を読んでいただくと理解できる。野中氏は「日本には古くから理想の行動プログラムとしての“型”があった。型は人を枠にはめるが、すぐれた型を体得すれば、動きに無駄がなくなり自由が保証される。さらに“型”は獲得するだけで終わりではない。“型”には不断のフィードバックを通じて革新しつづける“修・破・離”という自己超越プロセスが組み込まれている」と述べている。すなわち、経営の基本を学ぶことから出発し、やがて自社独自のやり方、“型”を作り、やがて更に革新を進めていき新しい環境に合わせ、次の型を作っていくことである。

本書は延べ15000時間にもおよぶ時間を調査にあて、調査活動の質の基準をきわめて高く設定した。そして、著者が予想もしなかった結果があらわれ、我々にとっても大変に示唆深い内容になっており、自分自身にとっても反省材料を提供してくれており、次の躍進ステップになる本である。


北原 秀猛

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•  ビジョナリー・カンパニー
•  リーダーシップ
•  野中郁次郎
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