HOME
会社概要
セミナー
教育関連
海外情報
書籍
お問い合わせ
ワールドネット
HOMEUBブックレビュー詳細





ウエストポイント式 仕事の法則表紙写真

ウエストポイント式 仕事の法則

著  者:ウィリアム・A・コーヘン
訳  者:渕脇 耕一
出 版 社:日経BP社
定  価:1,600円(税別)
ISBN:4−8222−4273−0

ウィリアム・A・コーヘンは、ウエストポイント(米国陸軍士官学校)卒業後、米国およびイスラエル空軍で戦闘経験を積み、退役後に空軍予備役少将、民間企業のエグゼクティブや大学教授を歴任し、現在カリフォルニア州立大学教授である。

リーダーシップとは、何らかの仕事を倫理的に正しく、最高のレベルにまで遂行できるように人々を手助けする手法にほかならない。

本書は第15章から成る。本書の原題は「The new art of the Leader」である。著者はリーダーシップというのは、結局他人の力を借りて何かを達成する能力であるという。優れた企業にはあらゆるレベルにおいて、強力なリーダーがいた。リーダーシップを発揮しているのは、管理者ばかりとは限らない。「リーダーシップとは人々を感化して、任務、目的、あるいは事業を達成するための力を最大限に引き出す能力のことである」。それだけに、優れたリーダーとなるには、まわりの人々の心をつかむ能力が大切である。

<リーダーとなるための7つの心得>

  1. どんな組織でも1人の人間が成功と失敗の分かれ目を決定することがある。リーダーとなれば誰でもその1人になれる。
  2. 驚くべきことに、ほとんどのリーダーが他人の力を借りて成功を手にしている。リーダーシップを発揮すればそれが可能になる。
  3. リーダーは管理者である必要はない。昇進を待つ必要もない。いつでもリーダーになるチャンスがある。
  4. コンバット・モデルを学べば、どんな条件下でもリーダーとなることができる。戦闘という状況は、リスク、不確実性、困難、結果の重大さという点で、リーダーにとってきわめて過酷な条件を強いるからである。
  5. リーダーになるための条件は単純だ。あなたが設定した目標に向かって人々を駆り立て、能力を最大限に発揮させることに尽きる。
  6. リーダーは生まれつきではなく、作られるものだ。リーダーになりたければ、技能の習得と同じように学習を通じてその方法論を身につけることができる。
  7. 待遇を良くしたり労働条件を改善することは、リーダーになるために必ずしも必要ではない。待遇や労働条件にかかわらず、人々のやる気を引き出して最大限の能力を発揮させることができる。

<リーダーシップに関する8つの普遍法則>

  1. 清廉潔白であるべし。
  2. 仕事に精通すべし。
  3. 見通しを知らしむべし。
  4. 並はずれた献身ぶりを発揮すべし。
  5. 前向きの見通しを持つべき。
  6. 部下の面倒を見るべし。
  7. 己を捨てて義務を果すべし。
  8. 先頭に立つべし。
 目標が高ければ高いほど、大きな成功を達成できる。

<部下を動かす4つの方法>

  1. 部下の自尊心を尊重せよ
  2. 自分の展望を伝えよ
  3. 部下への気配りを忘れるな
  4. 部下の全行動の責任を引き受けよ

<現場に出向くことで生まれる10の効果>

  1. 組織で何が起こりつつあるかが分る。
  2. 問題を抱えている人を助けられる。
  3. 反対に自分が助けてもらうこともある。
  4. 本当の問題を発見できる。
  5. これまで気づかなかったチャンスを発見できる。
  6. 賞賛と認知に値する人にそれを与えられる。
  7. 必要ならば行いを正させ、規律を与えられる。
  8. 速やかに意思を伝達できる。
  9. 組織のための展望を伝えられる。
  10. 全員が目標と目的を理解するようになる。
「ドイツでは“これをやれ”と言いさえすれば、兵士はそれを実行する。アメリカではそれだけでは不十分で、なぜなのかを説明し、十分な理由を示さなければならない。それでやっと兵士は命令を実行する」

<組織を動かす4つのテクニック>

  1. 命令
  2. 説得
  3. 交渉
  4. 参加

<強いチームの4つの条件>

  1. 結束―――仲間意識の高さ。メンバー個人の利益とグループの利益が一致していること。
  2. チームワーク―――各メンバーを適材適所に配置すること。各メンバーの強みを最大限に発揮し、弱点を最小化するように力を合わせること。
  3. 士気―――要するに「やる気」。個々のメンバーの内面的な満足感が高いこと。
  4. 団結心―――「自分達が正しい」という意識を集団全体で共有していること。

部下がもっと仕事に満足するようにしたければ、仕事そのものへの動機付けが必要なのである。つまり、1.達成感、2.功績の認知、3.仕事の難しさ、4.重い責任、成長と発展、である。

リーダーは問題解決と意思決定を行う。逃れることは出来ない。それらは車の両輪である。目標へと向かう途中には必ずいくつかの障害が待ち構えている。しばしば生ずる不都合は、価値ある目標へと進むときには付きものだと思わなくてはならない。

著者はいう。リーダーは物事を成し遂げる人である。しかも行動をとって成し遂げる人である。現実の状況に飛び込んで、学んだ知識を活用してほしい。間違いを恐れず、自分の方法論を少しずつ修正して欲しい。批判を甘んじて受け、向上してほしい。リーダーの「仕事の法則」は、あくまでも行動主義でなければならない。

ウエストポイントが教えるリーダーシップの極意は、部下の心を掴み、過酷な状況下でも最高の成果を達成する、究極の人材活用術だったのである。著者の経験からの実践論といろいろな実例を使い読者にわかりやすく、しかも、過去の偉人たちの言葉を引用し、説得力のある組み立てになっている。


北原 秀猛

関連情報
この記事はお役にたちましたか?Yes | No
この記事に対する問い合わせ

この記事に対する
キーワード
•  ウィリアム・A・コーヘン
•  リーダーシップ
•  組織


HOMEUBブックレビュー詳細 Page Top



掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
著作権はセジデム・ストラテジックデータ株式会社またはその情報提供機関に帰属します。
Copyright © CEGEDIM All Rights Reserved.