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日本国倒産への13階段表紙写真

日本国倒産への13階段 〜もう止められない!日本はこうして壊れていく〜

著  者:青柳 孝直
出 版 社:総合法令出版
価  格:1,365円(税込)
ISBNコード:4−89346−869−3

青柳孝直氏は、1971年 早稲田大学法学部卒。邦銀・外資系金融機関の現場担当者として東京金融市場を始め、ニューヨーク、ロンドン市場等の世界最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者でもある。

いま日本の経済が直面しているさまざまな現実を直視しなければならない。そこに見えるのは、浮遊するニッポン丸の姿。すなわち日本経済のアメリカ化、「アメリカ合衆国の属国化」現象である。例えば株だ。上がるも下がるも、外国人投資家(ヘッジ・ファンド)と、彼らを陰で操るアメリカ、そして国際金融資本に生殺与奪の権を握られている。為替は、円売りドル買いの市場介入(PKO)で巨額の外貨(ドル)準備金を積み上げ、結局は米国債を買って運用するしかなくなった。アメリカは大喜びだ。借金は肩代わりしてくれるばかりか、都合が悪くなれば円高に持っていけば借金の棒引きになるだけの話。日本はアメリカの借金を背負うばかりか、大きな為替差損発生の爆弾を抱えている。

財政は国債・地方債の大量発行などで既に1000兆円の借金を抱えている。さらに財投や年金に関する隠れ借金を含めれば、個人金融資産1400兆を軽く超える赤字体質だ。このままでは日本国倒産へ一直線である。そのため政府は、国の借金を国民に“付け回し”しようと、個人向け国債を大宣伝している。

話は違うが、安全もまた危ない。国際テロの恐怖が地下鉄や原発に及んできた。尖閣諸島や竹島は実質占領され、東シナ海の石油利権に日本の外交は腰が引けている。理屈はどうであれ、日本の弱体化には違いない。

「日本がアメリカの52番目の州になる」。石原慎太郎知事の著書『国家意志のある「円」』(光文社、2000年刊)の中で、アメリカの大手ゼネコン「ベクテル社」幹部の衝撃的な発言を紹介している。曰く「2005年には、日本は米州の一つに併合されることになっている」と。考えてみれば、2005年は日本の終戦〔1945年〕から数えてちょうど60年。世に言う「60年周期説」、そして中国陰陽五行説にいう運命の60年サイクルとピタリ符号する。

自然のサイクルと経済の動きの合致を骨子とする「ギャン理論」がそのことを実証している。ギャン氏は言う。「未来とは、単に過去の出来事の繰り返しにすぎない。すべての事物は大サイクル(メジャー・サイクル)と小サイクル(マイナー・サイクル)の組み合わせで成り立っており、またこれらのサイクルはすべて自然科学における「振動の法則」によって確定する。・・・この世の何物もこの法則から逃れることはできない。その法則は普遍的なものであり、地球上で起こるすべての現象に適用されている」。

本書は、第1の階段:株価崩壊、第2の階段:為替崩壊、第3の階段:国債崩壊、第4の階段:財政崩壊、第5の階段:銀行崩壊、第6の階段:雇用崩壊、第7の階段:食糧崩壊、第8の階段:年金崩壊、第9の階段:病院崩壊、第10の階段:情報崩壊、第11の階段:安全崩壊、第12の階段:生活崩壊、第13の階段:政治崩壊、の構成となっている。

株価が低迷している理由は2つ。1つは、政府の公式発表の「景気回復」と一般国民が感じている景気実態との間にかなりの乖離があるということ。もう1つは、株価が日本の景気回復など関係ない“大きな手”に操られているということだ。大きな手とは、外国人投資家を動かすアメリカの戦略と、さらにそのアメリカ経済を実質的に操る国際金融資本の意向である。

ドル安には「いいドル安」と「悪いドル安」がある。「いいドル安」とは、強いドルを背景に政策的にドル安状態を“演出”する場合を言う。すなわち国内製造業に輸出競争力をつける、企業収益が上がれば雇用が増え税収も増える。しかし意に反してコントロールが効かないドルが暴落すれば、物価上昇で消費が止まり、景気が落ち込む。「悪いドル安」である。日本の輸出額は、年間約50兆円にのぼる。もし円高で10%円が上がったら、単純計算で受け取る輸出代金は約5兆円も目減りしてしまう。また、円高になれば外貨建て資産価値も目減りするし、輸出品の価格が下がるからデフレを招くことにもなる。

一般国債の発行残高だけで483兆円。その償還と利払いに毎年162兆円もの借換え債を発行せざるを得ない現状。発行に歯止めがかからない理由は2つある。1つは、国の税収がデフレの長期化で40兆円ほどしかないのに、支出に当る歳出が80兆円もあることだ。この差額40兆円を埋めるには、毎年同じ額の国債を発行しなければならない。もう1つは、過去に大量に発行した国債に利息をつけて償還していかなければならない。もし返せないときは、借換え債を発行する。いわば手形のジャンプと同じことだ。

個人向け国債の問題は4つある。第1は政府が言うほど儲かる金融商品でなない。第2は、さほど安全ではない。第3に換金売りするとき値がグンと下がってしまう可能性がある。第4には、ハイパー・インフレがやってくれば、紙くずになってしまう危険性が高い。

2004年3月末の長期債務残高は、国内総生産の約1.4倍、今年度の税収見込み額の17倍にあたる703兆円。地方を含めれば約1000兆円。先進国ではダントツの最悪であり、破綻したら金利は急上昇し、円も暴落する。

今回の銀行再編劇、もちろんこれで終わりではない。衣の下の鎧、それは「銀行のサラ金化」である。それは3大メガバンク(東京三菱、三井住友、みずほ)とて例外ではない。「メガバンクは3つでは多すぎる。米国でも本格的な国際展開をする大手銀行はシティグループとJPモルガン・チェースしかない」――竹中大臣の口癖だという。米国流の査定方式の導入、大口債務者に対する銀行間の企業の経営状態に応じて分ける債務者区分の統一、税金資産の厳正な監査を監査法人に要請…。まず都銀をサラ金化し、その先は「不良債権の火薬庫」と言われる地域金融機関、地銀、第2地銀、信用金庫をすべてサラ金化する…というのである。銀行のサラ金化が進めば、当然かつてのような「支店長」文化は消えてなくなる。その役目は“地方の名士”から“キャバクラの管理人”状態と化すのだ。25兆円と言われる日本の消費者ローン市場は、日本内外の金融機関にとっても魅力ある市場である。1990年代後半から、米系のCFJ(シティグループ傘下の3社が統合)やゼネラル・エレクトリック(GE)グループが日本国内の中堅企業を買収する形態で、日本に本格進出している。

時代の流れとしてのリストラ促進がある。「産地直送型経済」の本格化により、企業の中間寄生層、いわゆる営業セクターが自然淘汰される。「生産者」と「消費者」がダイレクトに結び付き、営業セクターの淘汰が進んでいる。一方銀行のホワイトカラーの大量解雇を生み出している。アイワイバンク銀行の登場によって、決済機能は銀行の専売特許ではなくなった。それに、フリーター化とパート化である。

日本の食糧自給率は、昭和45年には6割をキープしていた。日本は今およそ4割、海外では5割を切っていた英国が7割、ドイツは10割、フランスは完全自給してなお3割の余剰があるという。

日本の年金制度は、やはり崩壊に向かっている。現状の官僚制度が存在する限り、抜本的な解決策は見つからない。結局、少子化社会に対応した社会・経済システムを自分なりに創り出すしかない。

“闇の世界”では、顧客1人当りの情報コストは200円〜300円と言われている。仮に200円としても、1000万人分のデータを盗まれた「ヤフーBB」は20億円、「ジャパネットたかた」には約1億円の価値があることになる。情報漏洩は、企業側にとっても重大な被害をもたらす。「ヤフーBB」のソフトバンクは、補償金などで40億円以上を使った。

アメリカは北朝鮮が日本に攻撃してくることを想定して、“Xデー”に備え、着々と軍備を整えている。まず、日本海や西太平洋にミサイル迎撃システム(SM3)を搭載した高性能イージス駆逐艦15隻を06年までに配備する。韓国駐留米軍には、最新型パトリオット(PAC3)と無人航空機の支給を決めた。在日米軍司令官が、これまでの少将から一気に大将に格上げになる。そこでいまアメリカは何を考えているのだろうか?答えは1つ、この備えを日本に高く売りつけることである。

昨年の完全失業者390万人。自殺者3万4427人、路上生活者2万5296人。この厳しい状況の中で、貯蓄を取り崩している60歳代世帯が増えているという。そして、大増税の時代を迎えた。「フリーター課税の強化」、さらに「定率減税」や「所得控除」の廃止・縮小だ。まさに「生活崩壊」の危機である。

W・D・ギャンによると、「政治的な異変があるとき、その前兆現象として農産物が急騰する」と述べている。このところ、日本の農産物が高騰している。小泉首相はすでに「レイム・ダック」だ。問題は“ポスト小泉”、その一番手は私が見るところ小沢一郎だ。民主党で政権を取り、総理になる。小沢氏の天下取りの秘策が公明党との合従連衡である。そのキーワードは「憲法非改正の国連待機軍構想」と「永住外国人への地方参政権の付与」、「新・国立戦没者追悼施設の建設」だ。このいずれも、公明党の主張そのものであり、自民党とのコンビでは拒否されているテーマ。公明党としても乗り易い。いずれにしても、帯に短しタスキに長し、誰も期待する決定的なリーダーは不在である。「政治崩壊」の始まりである。

以上が本書の概要である。日本の国民であれば、誰もが日本の崩壊を望んでいる人はおるまい。著者の青柳孝直氏も「日本再生のために、歴史が発する警告を私たちは噛みしめたい」と述べているように、この現状で良いのかという危機感を書いているのだ。

今から22年前の1982年に行われた“経済審議会長期展望委員会”の報告書を読んで欲しい。「現在の社会保障の仕組みは、将来の高齢社会に十分対応できるものとはなっていない。例えば、厚生年金について将来を展望してみると、保険料のレベルは2015年以降には34%に高まらないと収支がバランスしないこととなる。いずれにせよ、現行世代は将来世代に非常に大きな負担をのこしていることになる」。つまり、年金の問題は20年以上前からわかっていたのである。それにもかかわらず、先延ばし先延ばしで抜本的改革が行われてこなかった。いざとなると、国民にその痛みを押し付けることで解決策をしようとしてきた。現在の年金保険料13.934%、健康保険料8.20%、介護保険料0.89%、合計23.024%が年収から引かれている(事業主と折半)。この状況では国民にとって将来展望など開けない。

一番悪いのは官僚である。彼らもこのままいったら行き詰ることがわかっているが、1〜2年で自分の任期が終わるため、自分の任期中に問題が表面化しないことを優先してしまう。これでは日本の抱える問題は解決しない。これからは個人個人が国をあてにせず、自分で道を切り開いて行くほかはないということだ。


北原 秀猛

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•  日本国倒産
•  ギャン理論


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