日本では、急激な少子化の進行に歯止めをかけるために、厚生労働省は、育児休業制度、少子化対策推進基本方針や新エンゼルプランなどの施策を進めている。一方、人口抑制政策を採っている中国では、日本と正反対の規制策が進められていることが、今年9月1日から実施された「人口と計画出産法」でわかった。
同法は、一人っ子の計画出産は基本的な国策であるとし、国家と民族の発展に欠かせないことを改めて強調した。これまでの人口抑制策として知られている「一人っ子政策」を法律として明文化しており、今後も引き続き人口抑制策を強化することが明らかになった。
ただし、「各地方政府が独自の規則を定めれば、第2子の出産も可能」とする一文も記載されている。中国は一つの国でありながら、地域の社会状況や経済力などが異なっているため、それぞれの地域では自治的な法規が設けられていることも少なくない。
新たな「人口と計画出産法」が施行されてから、各省・自治区・直轄市では各々の補充条例の追加を行った。例えば、安徽省が追加された法規では、第2子の出産が認められる夫婦は「双方が一人っ子、双方が少数民族の夫婦であること」に限られるという。しかしながら、全人口に占めるわずか6%しかいない少数民族は、ほとんど自治区(内モンゴル自治区、広西ルワン族自治区、チベット自治区、寧夏回族自治区、新疆ウイグル自治区)に集中しており、安徽省のような地域ではゼロに近いと言っても過言ではない。このような厳しい条件を満たせる夫婦は少ないだろう。今回の法施行で2人目の出産はより難しくなったと言える。
もう一つ例を見てみよう。山東省の条例では、「晩婚晩育」(遅く結婚して遅く産むこと)を奨励する制度もある。晩婚の場合は、男女とも法定の結婚休暇以外+14日休暇。女性側が遅く子供を生む場合は出産休暇以外+60日休暇。もちろんこれらの休暇を取っても給与が全額支給されることになっている。さらに、一人っ子政策を貫くために、同省では「一人っ子の親(公務員の場合)が定年退職後の年金は規定より5%アップする」ことなども盛り込まれている。
両省の条例内容は異なっているが、その目的は同じである。とにかく中国は人口を抑制するために、知恵を絞り込んで様々な対策を講じている。だが、その裏には、急速な高齢化の進展と核家族化による老人世帯の増加などといった社会問題が中国に突き付けられている。日本のような少子・高齢化が到来する日も時間の問題だろう。
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