ダスティン・ホフマン主演の「アウトブレーク」のような世界が現実になろうとしている。中国の香港や広東省に端を発生した新型肺炎「重症急性呼吸器症候群=SARS」の猛威が収まらない。その病因や感染ルートがはっきりしないため、その恐ろしさは日本にも伝わっている。
世界保健機関(WHO)が公表した、新型肺炎に関するデータによると、全世界の感染者数は4月21日現在で3861人となり、死者は217人に達している。また、香港や広東省をはじめとする中国は、感染者数の約87%を占め、死者数でも83%に上っていることが明らかになった。
WHOでは、SARSの主因が新種のコロナウイルスであることを確認した。このウイルスが現代社会に与える影響は計り知れない。
先日、仕事の関係で上海に行ってきた。外務省の香港や広東省への渡航延期を勧告したせいなのか?上海でも日本人観光客が激減しており、この季節なら満席になるはずの上海便もガラガラだった。また、日本人がよく宿泊するホテルや観光地、お土産店でも姿を見ることはなかった。このような現状から事態の深刻さを肌で感じた。
だが、現地の上海市民はSARS(中国では非典型肺炎と呼ぶ)に対してどのように対応しているのかだろうか。上海では感染者(正式の公表は2人)が少ないため、予防対策が特に実施されておらず、まるで“私たちとあまり関係がない”という印象を受けた。例えば、筆者の友人は恐ろしさを知らずに、堂々と香港や北京に出張している。「大丈夫だよ、私は健康なので感染するわけがないでしょ?」と胸を張る。
しかし、感染者が続出していることは事実であり、このような不安はいつまで続くのだろうか。目に見えないものは実に恐ろしい。
中国から戻ってきてから、咳をするのも神経を使う(笑)。
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