世界の大型医薬品売上ランキング 2006

ユート・ブレーンのまとめた大型医薬品売上ランキングは、各社の決算発表（アニュアル・レポート、連結決算短信及び補足資料等）に基づき、公表されている医薬品の売上を成分（一般名）で集計したもの。ただし、同成分でも製剤や薬効の異なるものは合計していない（吸入容器の異なる喘息薬やプログラフとプロトピック等）。創製したメーカーのロイヤルティやバルク売上等も加えており、「創製された成分が世界でどれだけの売上（ブランド品のみ）を創り出したか」をまとめたものである。例えば、武田薬品のブロプレス（米名アタカンド）の場合、武田の連結売上に欧米のライセンス先であるアストラゼネカの売上を加えて世界売上としている。欧米のメーカーは主に2006年12月期決算、日本のメーカーは主に2007年3月期決算（原則として連結ベースの年次決算期）の数字を使っており、為替レートはすべて2006年12月末のレートを使って米ドルに換算している（2005年の数字はいずれも前年）。なお、ユーロや英ポンドなどは2005年末に比べ、米ドル換算値が11％以上高くなったため、売上がユーロやポンドで公表される製品は、例えば伸びがゼロでもドル換算数字は2桁増える。
次頁の表で、左端の順位の数字にアミを掛けたものは日本未発売の製品（2007年6月30日現在）で、一般名にアミを掛けたものは、日本のメーカーが創製した製品を示している。

２．2006年大型医薬品売上の概要

◆大型品への上位集中が進む
昨年まとめた2005年のランキングと比べると、40億ドル以上が9製品⇒15製品へ、20億ドル以上全体では、36製品⇒47製品へ増えている。これらは1990年代に登場した大型品が多く、それだけ"超大型品への上位集中"が進んでいることを示している。情報がインターネットで世界に伝わることから、「売れる製品はますます売れ」、「1つの薬効クラスでトップとなれば多くの国でトップ」の時代となっている。一方、アメリカだけでなく、ヨーロッパ諸国でも、パテント切れ後のジェネリックへの切り替えや薬価引き下げが増えており、超大型品への上位集中は、ジェネリック登場後の売上急減のリスクが以前よりも高くなっている。〔参考例：メルクのゾコール（日本名リポバス）：2005年売上43.8億ドル⇒2006年28.3億ドル⇒2007年同社予想6〜9億ドル、2年で35億ドル以上の減収。〕90年代の大型品は2011年末までにパテントの切れるものが多く（トップのリピトールを含む）、それまでに大型新製品を出すか、最近の製品の売上急増を図れなければ、そのメーカーのパテント切れ後の売上増は難しくなる。

トップ製品は引き続きリピトールで、6％増の136.8億ドルとなった。2005年の2位はプラビックスだったが、米でパテントが切れていないのにジェネリックが（一時的に）登場した影響で伸びがゼロとなって3位に後退し、グラクソ・スミスクラインのセレタイド（日本名アドエアー、2007年6月発売）が2桁増とポンド高の影響で2位となった。2005年と順位は違うが、1〜6位に登場する製品は同じ。7〜9位はいずれも20％以上伸びたバイオ製剤で、ジプレキサ（05年は9位）やタケプロン（同7位）を抜いた。タケプロンは欧日のパテント切れで、13位に下落した。

◆薬効クラスの変化
いわゆるスタチン製剤（コレステロール低下剤）で20億ドル以上のものは3製品（リピトール、ゾコール、クレストール）あるが、2005年に16位だったメバロチン（第一三共/BMS）は20億ドルを割って上位の表から消えた。抗潰瘍剤のPPIは、20億ドル以上に4製品あり、これは2005年と同じだが、6位のネクシアム（オメプラゾールの異性体の後継品）以外は順位を落としている。一方、比較的新しい降圧剤のARB（サルタン製剤）は表にある4製品とも順位を上げた。また、バイオ製剤の多くが好調で、リツキサンは05年の10位⇒06年6位、エンブレルは14位⇒8位、レミケードは15位⇒9位、アラネスプ19位⇒14位のほか、乳がんのハーセプチンは51位（05年は16.3億ドル）⇒22位へ躍進した。一般的な慢性疾患薬の多くがパテント切れの影響で順位を落とす一方、バイオ製剤が売上を伸ばしており、売れる医薬品が変化しつつある。

◆日本未発売の製品
40億ドル以上の15製品で、日本未発売の製品はPPI製剤の2つ（6位ネクシアム、15位パントゾール）だけとなったが、20〜40億ドルでは32製品のうち、28％の9製品が未発売となっており、いわゆる"ドラッグ・ラグ"がある。フェーズIII以降のものが多いが、ネクシアム（エソメプラゾール）とパントゾール（パントプラゾール）は日本で発売されない。

◆日本のメーカーがオリジナルのものは8品目
日本のメーカーが創製した医薬品（一般名にアミのかかっているもの）は、47品目のうち、8品目となった。2005年の20億ドル以上では6品目で、2製品増えた。ただし、メバロチン（プラバコール）がランク外となり、アリセプト、ハルナール、クレストールが20億ドル以上に入った。

＜最大のスタチン製剤市場がついにマイナス＞
大型製品は、大型薬効クラスに集中する傾向があるため、最大のクラスであるスタチン製剤について、上位製品とそのブランド品世界市場を示したものが次の表である

これはコレステロール低下剤（高脂血症剤）で、一般名が○○スタチンとなっているため、スタチン製剤と呼ばれる市場である。日本では2003年にリポバスもメバロチンもジェネリックが登場しているが、アメリカでは2006年3月にプラバコール、6月にゾコールのジェネリックが登場し、一挙にジェネリックへ切り替わったことから、2006年はスタチン市場が初めてマイナスとなり、6％減の216.8億ドルとなった。
2006年に市場が全体で10％以上拡大している主な薬効は、抗がん剤、抗喘息薬、糖尿病薬、統合失調症薬、バイオの抗リウマチ薬、先に取り上げた降圧剤のARB（サルタン製剤）などがある。

◆参考：この調査や薬効別医薬品売上ランキング、世界の医薬品メーカーランキングの詳細は、弊社発行の月刊誌「ファルマ・フューチャー」に掲載しています。

＜ファルマ・フューチャー掲載内容＞
2007年6月号：薬効別医薬品売上特集（スタチン、降圧剤、PPI、抗うつ剤、統合失調症薬、糖尿病薬、抗生物質、抗がん剤ほかを薬効別に掲載）
世界の医薬品メーカー100社ランキング（医薬品売上5億ドル以上の106社掲載）
2007年7月号：世界の大型医薬品売上ランキング（このリリースの3.5億ドル以上の成分別医薬品売上ランキング、及び販売メーカー別の医薬品売上ランキング2億ドル以上全品目を掲載）
2007年5月号：一部の薬効別医薬品売上掲載（抗てんかん薬、アルツハイマー病薬、骨粗鬆症薬、パーキンソン病薬、バイオの抗リウマチ薬、抗HIV薬等）

※ これらは有料です。ご了承下さい。（6月号のみ10000円＋税、他は8000円＋税です。）
※ 年間の重要記事を集めた「ファルマ・フューチャーイヤーブック2007」も発売中です。
詳細は、弊社サイト　www.utobrain.co.jp　をご覧下さい。

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※合同会社は2006年の会社法改正で認められた会社の形態の一つです。

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		世界の医薬品メーカーランキング２００６　決算期版 NewsRelease0705.pdf [ 387kb ]

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