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<ユート・ブレーン ニュースリリース>

世界の医薬品メーカーランキング2008 決算期版

  ユート・ブレーン株式会社(大阪06-6202-7787、東京03-3270-8741)は、毎年恒例の「世界の医薬品メーカーランキング2008−決算期版」をまとめた。原則として医療用医薬品売上高のランキングだが(ワクチンや造影剤を含む)、一部のメーカー(主に非上場メーカー)は詳細非公表のためOTCや検査薬などを含んでいる。

◆為替レートの一部変更について

例年、米ドルへの為替レートは12月31日のものに統一して換算していたが、2008年は金融危機の影響で例えば、2008年末の英ポンドは1年で27.5%も下落した。これで換算すれば実際の売上高とかなり乖離が出るため、今回は為替レートの変化が20%を超えた英ポンドや日本円は2008年の年平均レートで換算している。

1.100億ドル超は19社で1社増となったが・・・

 100億ドル以上のいわゆる「100億ドルクラブ」に入るメーカーは、ジェネリック主体のメーカーで最大手のテバ製薬工業(Teva Pharmaceutical Industriesの訳)が加わり、2007年より1社増えて19社となった。19社のうち、医薬品売上高が2桁の伸びとなったのは6社あり、シェリング・プラウ、武田薬品工業、テバ製薬工業は主に買収が貢献したもので、他の3社は主に製品の伸びが貢献したもの。シェリング・プラウは買収したオルガノンが通期で寄与し、40.1%増の142.5億ドル、武田薬品はアボットとのジョイントベンチャーだったTAPのPPI製剤プレバシッド、買収したミレニアム製薬(Millenium Pharmaceuticals)の売上高が加わり、14.4%増の134.7億ドルとなった。(他社名もPharmaceuticalsは「製薬」と訳している。)

大手でマイナスとなった5社のうち4社は大型品のパテント切れの影響で、残りのロシュは備蓄用インフルエンザ薬タミフルの減少(ドルでは13億ドル近く減)とスイスフラン高が影響した。

 一方、前回の2007年のランキングでは、100億ドル超の18社のうち、2桁増が11社もあり、マイナスは最大手の3社だけだったことからすれば、医薬品メーカーの全体的な成長時代は終わり、成熟期に入ったと言える。需要が大幅に縮小する自動車産業などに比べるとまだ恵まれているが、2010年、2011年には大型品のパテント切れも多く、欧米ともジェネリックへの切り替えが早まっていることから、差別化の難しい一般的な慢性疾患薬を中心としたメーカーは厳しくなっている。

2.50〜100億ドルは2社減の10社

 50〜100億ドルの規模では、テバ製薬が100億ドル超となり、スイスのニコメッド(非上場)は主力品のPPI製剤パントプラゾールに米国でジェネリックが登場した影響を受け(米ではワイス販売)、50億ドルを割って47.2億ドルとなったため、2社減少して10社となった。10社のうち2桁増は3社で、抗HIV薬などウイルス薬に強いギリアド・サイエンシズが26.1%増の53.4億ドルとなり、売上高を11億ドルも伸ばした。

◆日本のメーカー3社の状況

 アステラス製薬は国内が2.8%増と好調だったものの、主に円高の影響で▲0.7%となった。しかし、2つの主力品のジェネリック登場が見込まれ、今後は厳しい。第一三共はインドの最大手ランバクシーを買収してその3カ月間の売上高が加わったが、国内が▲4.7%となった影響もあり、医療用医薬品売上は1.9%増の77.0億ドルだった。かつてトップ製品だったメバロチンは、ピーク時2003年度の2054億円から2008年度は608億円まで減少してピーク時の30%を割り込んだ。エーザイの2008年度は、買収した米MGIファーマやアルツハイマー病薬アリセプトの伸びが貢献して7.3%増の72.2億ドルと好調だった。ただし、アリセプトが医療用医薬品売上高の41%を占めており、米国でのパテント切れ(2010年11月)後の影響がそれだけ大きくなっている。なお、エーザイは今まで国内のOTC売上高が含まれていたが(同社発表の連結決算がそうなっているため)、今回はそれを除外し、2007年の数字もそれに合わせて修正した。順位が1つ上の第一三共がOTC(第一三共ヘルスケア)を除外した売上高を発表しているためだが、順位は変わらない。

 50〜100億ドル規模のメーカーでは、インスリンなど糖尿病薬を中心としたノボ・ノルディスクが8.9%増と引き続き好調であり、専門メーカーは強いことを示している。ただ、バイオの大手ではアムジェンが150億ドルを超えたが、限られた専門分野の医薬品だけで100億ドルを超えて成長を続けるのは難しいとみられる。

3.30〜50億ドルの13社

この規模のメーカーは2007年の11社から2社増えて13社となった。

 ジェネリックメーカーのマイラン・ラボラトリーズ(31位)は、ドイツのメルクKGaA(ランキングでは24位のメルク・セローノ)のジェネリック部門を買収してそれが通期で寄与し、75%増の46.3億ドルとなった。この規模では、マイラン以外に大きな買収で売上高が2桁増となったメーカーはなく、まだ成長期の製品を持っていれば、医薬品事業の業績を伸ばすことができる。一方、売上高の大きい主力品が限られており、それらのパテントが切れると売上高は一挙に2桁減となるリスクも高い。ジョイントベンチャーのメルク/シェリング・プラウ製薬(32位)はメルクによる買収が完了すれば同時に吸収されるが、販売しているのはコレステロール低下剤ゼチーアとそれとパテントの切れたシンバスタチンとの合剤バイトリンだけで、今後もマイナスが見込まれる。ベルギーのソルベイ(36位)は医薬品事業の成長があまり見込めないとして、医薬品事業は売却される見込み。

4.大手4社以外の日本のメーカー

日本円は年平均レートで、2007年より8.9%高くなっている。その結果、合併で誕生した協和発酵キリンを含め、新たに3社が20億ドル以上にランクインした。

26位の大塚製薬は統合失調症薬エビリファイが引き続き世界的に好調で、医薬品は5.7%増の65.8億ドルだった。ただし統合失調症薬はライバル品のジェネリックの影響で、今後は伸びが鈍化していく。38位の田辺三菱製薬は、トップ製品となったレミケードが好調で、2.2%増の37.2億ドル。41位の中外製薬はロシュと同様、タミフルの激減で5.2%減の31.8億ドルだが、円高で30億ドル以上を維持した。

新たに加わった3社では、2007年には大日本住友製薬がトップだったが、塩野義はスタチンのクレストールのロイヤルティが急増し、7.5%増の20.9億ドル、協和発酵キリンはEPO製剤の新製品ネスプが好調で、2007年の単純合算売上より2.9%増えた。大日本住友製薬は主力品である降圧剤アムロジンのジェネリックが増えて▲0.9%の減収となったが、円高で20億ドルを超えた。


5.M&A

既に公表されている大型買収では、ファイザーによるワイス買収メルクによるシェリング・プラウの買収、既に完了したロシュによる子会社ジェネンテックの買収がある。ファイザー+ワイス、メルク+シェリング・プラウの合算売上は「参考」として表に示した。メルクはシェリング・プラウの売上高に加え、ジョイントベンチャーのメルク/シェリング・プラウ製薬が加わり、世界2位となる。ジェネンテックの売上高は既にロシュの連結決算に組み込まれているため、ジェネンテックがランキングから消えるだけで、売上高は基本的に同じである。

ファイザーやメルクの大型買収は、過去の買収とは異なる点がある。ファイザーは世界最大の製品であるリピトールのジェネリックが米国で2011年に登場する。同剤の2008年の米国売上高は63.3億ドルあるが、2012年にはおそらく20億ドルを割り、2013年には5億ドルまで減る可能性がある。海外もヨーロッパを中心に大幅に減少していく。ワイスでは、トップ製品である抗うつ剤エフェクサーXR(1日1回製剤)のパテントが2010年に切れる。買収というのは将来的にも成長を続けるために行われてきたが、ファイザーは、よほどの大型品がいくつか登場して成功しない限り、売上高が成長を続けるのは難しいことを前提とした買収となっている。メルクにおいても、トップ製品の喘息薬シングレアはパテント切れ後に急減するため、特にシェリング・プラウの新製品が登場して順調に拡大しない限り成長は難しい。つまり、3兆円、4兆円を超える規模の医薬品メーカーであっても、もはや右肩上がりを続けられる時代ではなくなったのである。

参考:このメーカーランキングの詳細(5億ドル以上の世界のメーカーランキング等)は、「ファルマ・フューチャー」2009年5月号(下旬発行予定)に掲載。(申し訳ございませんが、こちらは有料です。)


本リリースに関する連絡先:大阪本部 永江研太郎

TEL 06-6202-7787/FAX 06-6202-7786 E-mail: ubinternational@utobrain.co.jp

住所(大阪本部):〒541-0045 大阪市中央区道修町1-7-10 扶桑道修町ビル9F

セジデム・ストラテジックデータ株式会社ユート・ブレーン事業部


お願い:このリリースのデータ等を利用される場合は、必ず、出所(出典)として「ユート・ブレーンの調査による」とご記入の上、上記宛に掲載紙(誌)をお送り下さい。

このランキングは毎年、日本経済新聞、朝日新聞、業界紙、週刊東洋経済、「業界地図」(各社の出版物)、医薬品メーカー各社のリクルート用資料などで、医薬品業界の標準データとして広く使われています。厚生労働省が昨年発表した「新医薬品産業ビジョン」でも使われています。

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