<ユート・ブ
レーン
ニュースリリース>
世
界の大型医薬品売上高ランキング 2008年 トップ 50
ユート・ブレーン株式会社(大阪06-6202-7787、東京03-3270-8741)は、毎年恒例の「世界の大型医薬品売上高ラ
ンキング2008年版」をまとめた。これはメーカー各社の大型医薬品売上を単純に並び替えてランキングしたものではなく、同じオリジナル成分の各社のブラ
ンド品売上を合計した世界における売上高ランキングである。
大型医薬品売上高ランキングについて
ユート・ブレーンのまとめている大型医薬品売上ランキングは、世界の医薬品メーカーの決算発表(アニュアル・レポート、連結決算短信及
び補足資料等)に基づき、公表されている医薬品売上げを成分(一般名)で集計したもの。ただし、同成分でも製剤や薬効の異なるものは合計していない(吸入
容器の異なる喘息薬や「プログラフとプロトピック」等)。創製したメーカーのロイヤルティやバルク売上げ等も加えており、「創製された
成分が世界でどれだけの売上(ブランド品のみ)を創り出したか」をまとめたものである。例えば、武田薬品のARB剤ブロプレス(米名
アタカンド)の場合、武田の連結売上げに欧米のライセンス先であるアストラゼネカの売上げを加えて世界売上げとしている。欧米のメーカーは主に2008年
12月期決算、日本のメーカーは主に2009年3月期決算(原則として連結ベースの年次決算)の数字を使っているので3カ月のズレがある。為替レートは例
年12月末のレートを使っていたが、金融危機で大幅な変動があったため、円及び英ポンドは1〜12月の平均レートを使用して米ドルに換算した。円は
2007年末比で9.2%円高、英ポンドは7.4%ポンド安となっており、日本の製品売上げは横ばいでもドル換算値は9.2%増える。
次の表で、左端の順位の数字にアミを掛けたものは日本未発売の製品(2009年7月1日現在)で、製
品名にアミを掛けたものはバイオ医薬品またはワクチン、一般名にアミを掛けたものは日本のメーカーが創製した製品を
示している。
注:各社が「実質伸び率」を発表している場合はその伸び率を使っており、実際の為替レートと異
なるため、ドル換算数字と伸び率は合致しない。例えば8位のネクシアムは▲2%だが、8月までユーロ高だったので、ドル換算数字では▲0.3%となってい
る。
2008年大型医薬品売上げの概要
◆超大型品への集中進む:40億ドル以上は2つ増えて17製品でバイオが増加
◆30億ドル台の製品は2007年と同じく15製品
40億ドル以上の製品は2006年と2007年はいずれも15で同じだったが、2008年は17製品となり、超大型品への集中度が高まった。新たに40
億ドル以上に入ったのはアバスチン、ヒュミラ、クレストール、アクトスで、統合失調症薬のリスパダールが経口剤のジェネリック登場で07年の11位から
27位へ、PPIのパントゾール(日本未発売)が米国のジェネリック登場で13位から40位に下落した。
40億ドル以上のバイオ医薬品は2007年には5製品だったが、アバスチンとヒュミラが加わって7製品となり、バイオの売上げ金額の増加が目立つ。その
7製品の売上げ合計は、前年比で55.6億ドル増の388.3億ドルとなった。この増加額は8位のPPI製剤のネクシアム(オメプラゾールの異性体の後継
品
で日本未発売)の売上げを上回っている。
世界のトップ3は2007年と同じ製品だが、1位のリピトールは▲2%とわずかながらマイナスとなった。リピトールは2009年には10億ドル以上減少
する見込み。
◆重要性を増すバイオ医薬品
上位50製品のうち、2008年にはバイオ製剤とワクチンが13ある。しかし、2004年、2005年には7製品しかなかった。世界的大手メーカーの場
合、世界の大型品をどれだけ持っているかが重要な意味を持つ。世界トップのファイザーは2005年に上位50品目のうちで8品目を販売していたが、
2008年には5品目に減った。2位のサノフィ・アベンティスは05年の9から08年は6へ、ファイザーと同様に3品目減った。3位のグラクソ・スミスク
ラインは05年に2つあったが、08年には3位製品の喘息薬アドベア(日本名アドエア)だけで1つとなった。サノフィ・アベンティスはバイオではインスリ
ンアナログのトップ製品であるランタスを持つが、世界の3大大手においては、バイオ医薬品への取り組みが遅れたことで、売上げを伸ばすことが難しくなって
いる。化学合成による「低分子医薬品」は既に多くが探索しつくされて有望な開発物質が減少しており、「低分子薬のブロックバスターをい
くつ持つかという世界的大手メーカーのビジネスモデル」は崩壊しつつある。
◆主な薬効
降圧剤のARB製剤は、2007年には50位内に4製品だけだったが、2008年には主要6製品がすべて50位内にランクインした。薬効クラスでトップ
のスタチンは、2007年と同様に、リピトール、クレストール、合剤のバイトリン(リ
ポバス+ゼチーア)がランクインしている。ユート・ブレーンの調べでは、ARB製剤の世界市場は2008年には前期比12%増の214
億ドルで、スタチン市場を下回っているが、リピトールとバイトリンの減収が続いていることから、2009年にはARB市場がトップと
なる見込み。
抗潰瘍剤のPPI製剤においては、40位のパントゾール(日本未発売)が米国でのジェネリックの影響により、
17.3億ドル減となったほか、PPIでトップのネクシアム(8位)が▲2%の52.0億ドル、武田薬品のタ
ケプロン(31位)が▲15%の32.4億ドル、エーザイのパリエット(39位)が▲7%の
27.1億ドルなど、大型品がすべてマイナスとなり、PPI市場は縮小した。欧米では2剤のジェネリックがあるクラスでは、急速にジェネリックが増える傾
向にあり、今後もPPI市場は縮小していくとみられる。
統合失調症薬については、リスパダール(27位)の経口剤がジェネリックとなって減少したが、12位ジ
プレキサ、13位セロクエル、30位エビリファイは
影響を受けていない。ただし、ジプレキサはヨーロッパの一部の国でジェネリックが登場した影響を受け、マイナス傾向にある。
◆日本のメーカーの創製品
上位50製品のうち、日本のメーカーがオリジンの製品は、2007年より1つ増えて10製品となり、トップは2007年のアクトスか
ら、2008年にはクレストールが抜いて日本オリジンのトップ製品となった。1つ増えたのは第一三共のARB剤で
あるオルメテックが2007年の55位から、2008年は49位に上昇したため。
ただし、上位50品目では日本の創製品が20%を占めるが、ユート・ブレーンのまとめでは、51位〜128位(10億ドル超)の78製品では、わずか4
製品しかない。つまり、日本のメーカーもクレストールやオルメテック以降の大型品があまり開発できていない。日本の上位製品も2011年までにパテントの
切
れるものが多く、世界的大手と同様に「売るべき製品不足」の状況となっている。
◆日本未発売の製品
表の50製品のうち、10製品が2009年7月1日現在で日本未発売となっている。
開発中や発売の近いものも多いが、日本で発売の待たれるのは43位のリリカである。本来はてんかんの薬だが、欧米では神経性疼痛の薬として多く使われて
おり、日本では治療薬のない線維筋痛症の適応も取得している。神経性の痛みには、ボルタレンやロキソニンなどいわゆるNSAIDと呼ばれる抗炎症剤は効か
ないため、このような薬があれば、痛みを抑えて仕事をすることも可能になる。リリカが2008年に41%増の25.7億ドルと大幅に伸びたのも、このよう
な神経性の鎮痛効果が支持されたためである。
★参考:この調査や世界の薬効別医薬品売上ランキング、世界の医薬品メーカーランキングの詳細は、ユート・ブレーン発行の月刊誌
「ファルマ・フューチャー」に掲載していますので、そちらを参照ください。掲載内容は次の通りです。
<ファルマ・フューチャー掲載内容>
◆2009年5月号
- 世界の医薬品メーカー100社ランキング(医薬品売上5億ドル以上の110
社掲
載)
- 薬効別医薬品売上特集(スタチン、PPI、抗うつ剤、統合失調症薬、降圧剤
ARB/ACE阻害剤/Ca拮抗剤他、糖尿病薬、抗てんかん薬の世界のブランド品売上)
◆2009年6月号
- 世界の大型医薬品売上ランキング(世界売上が5億ドル以上の202製品のラ
ンキ
ング及び
3.5億ドル以上の製品まで掲載)
- 薬効別医薬品売上特集(骨粗鬆症薬、抗HIV薬、抗喘息・アレルギー剤、抗
がん
剤、制吐
剤、G-CSF、抗リウマチ薬、エリスロポエチン製剤の世界のブランド品売上)
◆2009年7月号
- 医薬品業界のトレンド分析
- 薬効別医薬品売上特集(抗生物質、アルツハイマー病薬、パーキンソン病薬、
多発
性硬化症
薬、肝炎薬、まとめ)
※
これらは有料です。ご了承下さい。(5・6・7月号は世界の市場調査データ掲載のため、一般ご購読者は各10000円+税です。定期ご購読者は割引きあ
り。)
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年間の重要記事を集めた「ファルマ・フューチャーイヤーブック2009」(42,000円)も発売中です。2007年のランキングや薬効別売上げを掲載し
ています。問い合わせは下記メールへご連絡ください。
本リリースに関する連絡先:大阪本部 永江研太郎
TEL
06-6202-7787/FAX 06-6202-7786 E-mail:
ubinternational@utobrain.co.jp
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お送りいただいても結構です。)
過去のデータは厚労省の「新医薬品産業ビジョン」や、日経
新聞、朝日新
聞、業界地図等でも使われています。
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