セジデム・ストラテジックデータ株式会社 ユート・ブレーン事業部

世界の医薬品メーカーの医薬品売上高ランキング2013年

2014/6/13

100億ドル超は2社増の21社に

セジデム・ストラテジックデータ株式会社ユート・ブレーン事業部(本社大阪市)は、毎年恒例となっている2013年度の世界の医薬品メーカーの医薬品売上高ランキングをまとめた。

2013年世界の医薬品売上高ランキング

13順 12順 メーカー名 2013年 前期比 R&D費 全売上高 2012年
1 1 ファイザー 47,878 -6.5% 6,678 51,584 51,214
2 2 ノバルティス スイス 47,467 1.6% 9,547 57,920 46,732
3 4 ロシュ スイス 42,681 2.6% 8,628 52,534 40,514
4 5 サノフィ フランス 38,492 -6.0% 6,566 45,360 39,328
5 3 メルク 37,437 -7.8% 7,503 40,601 40,601
6 6 グラクソ・スミスクライン 35,787 0.4% 6,468 43,579 34,934
7 8 ジョンソン&ジョンソン 28,125 10.9% 5,810 71,312 25,351
8 7 アストラゼネカ 25,711 -7.9% 4,821 25,711 27,925
9 10 イーライ・リリー 20,962 1.9% 5,531 23,113 20,567
10 アッヴィ 18,790 2.2% 2,855 18,790 18,380
11 13 アムジェン 18,676 8.2% 4,083 18,676 17,265
12 11 テバ製薬工業 イスラエル 18,308 -1.2% 1,427 20,314 18,535
13 12 ブリストル・マイヤーズスクイブ 16,385 -7.0% 3,731 16,385 17,621
14 16 バイエル・ヘルスケア ドイツ 16,127 1.8% 2,277 55,280 15,210
15 15 ベーリンガー・インゲルハイム ドイツ 15,861 -4.9% 3,364 19,362 16,011
16 14 武田薬品工業 1403 15,696 9.1% 3,507 16,917 16,315
17 17 ノボ・ノルディスク デンマーク 15,427 7.1% 2,166 15,427 13,826
18 18 アステラス製薬 1403 11,954 15.8% 2,203 11,954 11,705
19 21 ギリアド・サイエンシズ 11,202 15.4% 2,120 11,202 9,703
20 19 第一三共 1403 10,985 12.5% 1,963 11,478 11,068
21 20 大塚ホールディングス 1403 10,625 21.6% 2,472 14,913 9,905
22 22 メルク・セローノ ドイツ 8,708 -1.2% 1,628 14,730 8,464
23 23 バクスター・インターナショナル 8,347 3.7% 1,246 15,259 8,053
24 29 アクタビス(旧ワトソン製薬) アイルランド 7,481 51.8% 617 8,678 4,929
25 26 バイオジェン・アイデック 6,932 25.7% 1,444 6,932 5,516
26 24 マイラン 6,909 2.4% 508 6,909 6,750
27 27 セルジーン 6,494 17.9% 2,226 5,507 5,507
28 28 セルヴィエ フランス 5,782 7.7% 1,561 5,782 5,154
29 25 エーザイ 1403 5,749 7.3% 1,519 6,163 6,079
30 30 アラガン 5,339 11.6% 1,042 6,300 4,785
31 32 CSL(CSLベーリング) 1306 オーストラリア 5,099 6.9% 427 5,130 4,771
32 アボット・ラボラトリーズ 4,974 -2.9% 791 39,874 5,121
33 33 シャイアー アイルランド 4,911 9.3% 933 4,934 4,495
34 34 UCB ベルギー 4,696 -1.5% 1,178 4,696 4,575
35 36 メナリーニ(推定) イタリア 4,405 -0.4% 不明 4,405 4,245
36 35 中外製薬 4,349 9.6% 685 4,349 4,500
37 38 ヴァレアント製薬Int’l カナダ 4,223 32.2% 157 5,770 3,194
38 48 フレゼニウス・カービ ドイツ 4,219 1.7% 344 6,877 3,984
39 31 田辺三菱製薬 1403 4,179 -0.6% 723 4,236 4,766
40 40 フォレスト・ラボラトリーズ1403 3,647 17.9% 788 3,647 3,094

セジデム・ストラテジックデータ株式会社 ユート・ブレーン事業部調べ (c) Uto Brain Div./Cegedim Strategic Data
※単位:百万ドル

これは各社の公表データを基に、医療用医薬品、ワクチン、造影剤、ロイヤリティなどの売上高を集計し、 OTCや検査薬などは除外したもの。 ただし、非上場メーカーなど詳細不明のメーカーはOTCなどを含んでいるところもある。 表に示した上位40社のうち、日本のメーカーは中外製薬を除いて2014年3月期決算の数字で(メーカー名の後ろに1403と表記)、 オーストラリアの血液製剤の大手CSL(31位)は2013年6月期決算(同社は米ドル決算に変更)、それら以外は12月期決算。 為替レートは毎年12月末のレートで換算しているが、2013年末は円安が急速に進んで円のドル換算額が前期比18.4%の大幅下落となるため、 円のみ年平均レート(1ドル=12年85.903円、13年97.418円)を使用した。 年平均レートでも円対ドルは2012年12月末比で11.8%下落する一方、ユーロは前年末比で4.2%高くなった。 旧アボット・ラボラトリーズは、2013年からヒュミラなど新薬中心のアッヴィ、 パテントの切れたエスタブリッシュ製品事業を持つアボット・ラボラトリーズに分かれたため、12年の順位は入れていない。 なお、Pharmaceuticalsとあるメーカーはスペースの関係上、○○製薬と訳している。

100億ドル超のメーカーは2社増の21社

いわゆる「100億ドルクラブ」に入るメーカーは2社増えて21社となった。 円安の影響で順位を上げた日本のメーカーはなく、大塚ホールディングスは米国で統合失調症薬エビリファイが好調で医薬品売上高が21.6%増加し、 2011年以来の100億ドルクラブに復帰したが、順位は1つ下がって21位となった。 初めて100億ドルを超えたのは、抗HIV薬やC型肝炎薬などの抗ウイルス薬に強い米ギリアド・サイエンシズで、15億ドル増の112.0億ドルで19位。 同社は13年12月に米国で発売した慢性C型肝炎薬ソバルディが14年1〜3月の3カ月で22.7億ドルとなり、2014年には200億ドルを超えて10位内に入る可能性がある。 世界の大手10社の中で最も成功しているのは7位のジョンソン&ジョンソンで、 リスパダール等過去の超大型品のパテント切れを乗り越え、医薬品は前期比10.9%増で過去最高の281.3億ドルとなった。

買収による拡大が増える中堅規模のメーカー

40位の米フォレスト・ラボラトリーズは、今年秋にも24位のアクタビス(旧社名ワトソン製薬、すでにジェネリックでは世界3位)に買収されることが決まっており、今回のランキングが最後となる。 このフォレスト社は今年2月、カナダのアプタリス・ファーマ(2013年に107位)を買収済み。 アクタビスは2013年10月にワーナー・チルコット(2012年に45位)の買収を完了して51.8%増の74.8億ドルとなり、本社を法人税が12.5%ですむアイルランドへ移した。 37位のヴァレアント(Valeant)製薬インターナショナル(カナダ)は、眼科関連で強いボシュロム、皮膚科に強いメディシス製薬などの買収で32.2%増の42.2億ドルと伸ばした。 ヴァレアント社はやはり眼科に強く、顔のシワを伸ばす注射剤ボトックスを持つ30位のアラガンの敵対的買収を進めている。 買収を実施した場合、通年の全売上高は150億ドル規模となる見込み。2013年は20〜50億ドル規模のメーカーによる買収が過去最高となった。

医薬品トップ10の変化

世界のトップ10医薬品を見ると、2013年の1位は2012年に引き続き抗リウマチ薬のヒュミラで110億ドルを超えた。 2位レミケードも2012年と同じ。 バイオ医薬品は2011年の4製品から2012年は7製品に増え、バイオの売上割合が39.6%から71.1%に急増して、2012年は業界の流れが転換した年となった。 2013年のトップ10は一部の順位が入れ替わっただけで2012年と同製品であり、バイオ中心の流れが加速し、その割合が73.5%へ増加した。 トップ10の合計額は2012年の8%減から2013年は8%増の819.0億ドルとなり、2011年の合計額821.2億ドルに戻ってきている。

2013年Top10

製品名 13年売上 前期比
1 ヒュミラ 11,024 15%
2 レミケード 9,727 7%
3 リツキサン 8,906 23%
4 エンブレル 8,791 4%
5 アドエア 8,756 7%
6 ランタス 7,867 20%
7 アバスチン 7,023 6%
8 ハーセプチン 6,827 6%
9 クレストール 6,718 -10%
10 ジャヌビア 6,263 1%
合計 81,902 8%
バイオ合計 60,165 12%
バイオ割合 73.5%

2012年Top10

製品名 12年売上 前期比
1 ヒュミラ 9,603 17%
2 レミケード 9,071 1%
3 エンブレル 8,476 7%
4 アドエア 8,216 4%
5 クレストール 7,430 -6%
6 リツキサン 7,227 -2%
7 ランタス 6,555 19%
8 ハーセプチン 6,444 11%
9 アバスチン 6,307 6%
10 ジャヌビア 6,208 22%
合計 75,537 -8%
バイオ合計 53,683 65%
バイオ割合 71.1%

2011年Top10

製品名 11年売上
1 リピトール 10,860
2 プラビックス 9,729
3 レミケード 9,016
4 ヒュミラ 8,242
5 クレストール 7,919
6 エンブレル 7,902
7 アドエア 7,891
8 リツキサン 7,386
9 ディオバン 6,984
10 セロクエル 6,187
合計 82,116
バイオ合計 32,546
バイオ割合 39.6%

※単位:百万ドル

R&D費のランキング

表に示したのは、医薬品に20億ドル以上のR&D費(研究開発費)を投じた20社のランキング。 1位は2012年のロシュからノバルティスに交代した。 2011年に91.1億ドルを投じていた世界最大手のファイザーは開発をCRO(受託開発会社)中心としてR&D費を大幅に減らし、2013年には66.8億ドルとなり、2年で24.3億ドルを削減した。 R&D費で上位10社の合計額は前期比1.1%減の656.4億ドルでマイナスだが、医薬品メーカーの大手10社の医薬品売上高に対するR&D比率は増加傾向にあり、2012年の19.6%から2013年は20.0%に増えた。 これは主にバイオや抗がん剤などR&D費のかかる製品が増えていることや、慢性疾患薬でも従来より安全性のデータが多く求められ、臨床試験の患者数が増えている影響が大きい。 また、後でより良い製品が登場すると先に登場していた同薬効の製品が売れなくなったり、 差別化が図りにくい同クラスの製品(例:2型糖尿病薬のDPP-4阻害剤)は4製品目以降に登場したものは保険で支払わない制度を採る国も増えつつあり、R&Dに対するリスクも高まっている。

R&D費ランキング2013

メーカー名 R&D費 比率 医薬品売上
1 ノバルティス 9,547 20.1% 47,467
2 ロシュ 8,628 20.2% 42,681
3 メルク 7,503 20.0% 37,437
4 ファイザー 6,678 13.9% 47,878
5 サノフィ 6,566 17.1% 38,492
6 グラクソ・スミスクライン 6,468 18.1% 35,787
7 ジョンソン&ジョンソン 5,810 20.7% 28,125
8 イーライ・リリー 5,531 26.4% 20,962
9 アストラゼネカ 4,821 18.8% 25,711
10 アムジェン 4,083 21.9% 18,676
11 ブリストル・マイヤーズスクイブ 3,731 22.8% 16,385
12 武田薬品工業 3,507 22.3% 15,696
13 ベーリンガー・インゲルハイム 3,364 21.2% 15,861
14 アッヴィ 2,855 15.2% 18,790
15 大塚ホールディングス 2,472 23.3% 10,625
16 バイエル・ヘルスケア 2,277 14.1% 16,127
17 セルジーン 2,226 34.3% 6,494
18 アステラス製薬  2,203 18.4% 11,954
19 ノボ・ノルディスク 2,166 14.0% 15,427
20 ギリアド・サイエンシズ 2,120 18.9% 11,202
上位10社小計 65,635 -1.1% (前期比)
上位20社合計 92,556 0.7% (前期比)

※単位:百万ドル

世界のジェネリックメーカーランキング2013

 今回は世界のジェネリックメーカーランキングもまとめ、参考データとして、 特許切れ製品+ジェネリックを販売しているファイザーとアボットのエスタブリッシュ製品事業も入れたほか、 インドでトップのサン製薬工業がランバクシーを買収することになっているので、2013年の両社合計数字を加えた。 前期比を見ればわかるように、買収で45%増と拡大したアクタビスを除き、 1位のテバ、4位のマイラン、2社のエスタブリッシュ事業のいずれもが減収となっている。 ジェネリックは世界的に価格競争が進み、最安値以外は保険で支払わない国もあるほか、高価な統合失調症薬のジェネリックは最初から20%以下で登場するものもある。 大手のエスタブリッシュ事業にも市場を奪われ、ジェネリックは増えても市場は拡大していない。

2013年ジェネリック医薬品売上高ランキング

メーカー名 13GE売上 前年比
1 テバ製薬工業 イスラエル 9,906 -5%
参考 ファイザーエスタブリッシュ製品 9,457 -8%
2 サンド(ノバルティス) 9,158 5%
3 アクタビス アイルランド 6,356 45%
4 マイラン 5,901 -1%
参考 アボットエスタブリッシュ製品 4,974 -3%
予定 サン製薬工業+ランバクシー インド 4,141 0%
5 ホスピーラ 3,233 5%

※単位:百万ドル CSDユート・ブレーン事業部調べ 30億ドル以上


2013年世界の医薬品売上高ランキングについて

この医薬品メーカーのランキングの詳細は、月刊情報誌「ファルマ・フューチャー」の2014年4月号(5月発行)に掲載しています。 このランキングでは世界の医薬品売上高5億ドル以上の125社と、参考データとして3〜5億ドルの15社を取り上げています。 このほか、薬効別ランキングとして、ARBを含む世界の降圧剤のブランド品市場をまとめたものを掲載しています。 ここでは医薬品のトップ10を紹介していますが、2013年の世界の大型医薬品売上高ランキング(世界で5億ドル以上のブランド品)は、 「ファルマ・フューチャー」の2014年5月号(6月発行予定)に掲載する予定です。 「ファルマ・フューチャー」誌の詳細、お申込みはこちらをご覧ください。

連絡先

セジデム・ストラテジックデータ株式会社
ユート・ブレーン事業部
〒541-0045
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TEL:06-6202-7738 FAX : 06-6202-7786
お問い合わせ先:担当医薬品アナリスト 永江研太郎
Email: JPUBinternational@cegedim.com

お願い:データを引用される場合

この医薬品メーカーランキングは、厚労省の新しい「医薬品産業ビジョン2013」で2011年のランキングが使われているほか、 日本経済新聞、朝日新聞等の一般紙、週刊東洋経済、週刊ダイヤモンド等の経済誌、各社の「業界地図」などで毎年利用されています。 利用される場合は、上記宛にメール・電話等でご連絡いただき、掲載誌をお送り下さいますようお願い申し上げます。引用される場合、 「出所:セジデム・ストラテジックデータの調査による」「出典:セジデム・ストラテジックデータ(株)ユート・ブレーン事業部」等と入れていただけますようお願い申し上げます。 ホームページ等で取り上げられる場合は、上記EメールへURLをお送り下さい。